最近クルマで良く80年代日本のロックバンド、ARBを聴きますと書きましたが、本当にARBばかりを流している感じだ。
ARBとレッチリとエアロ・・・、ボブ・マーリーしかここ一ヶ月聴いてないかも。

わたしが初めてARBを知ったのは、高校時代の同級生がテープをくれたことだった。
それまでアンチ邦楽で、欧米ロックしか一切聴かなかったんですが、ARB、勧められるがまま嫌々聴いてみて、おっ?案外いいじゃないか!!と思いました。
その時はまあそんな程度で、よりハマってしまったのは後々バンド活動して以降のことです。

とまあ、そんななんだか20数年前LPレコードで熱心に聴いた懐かしいものを、何故か今更またぶり返したように何度も聴いてるというわけですが、それほどARBって色あせないいいバンドだと聴けば聴くほど感じます。

ところで、あれだけクオリティーの高い、いい曲を作っていたにもかかわらず、彼らはなんで一般にはいまいち知名度がないのだろうか?
アルバムを聴きながらいろいろ考えてみました。

多分アルバムのタイトルの多さもあるだろう。
今更どれを聴けばという状況があるのかと・・・
それと、あえて言えば、石橋凌のボーカルも原因ではないかと思う。
石橋凌の歌声は、よく言えば渋く、悪く言えば非POPでとっつきにくい年寄り臭い声だと思います。
男のロックを求める人には絶大な支持があるだろうが、色気という意味では野暮ったく感じるかもしれない。

ちなみにわたしも、こう書くとARBファンに目の敵にされそうだが、石橋凌の歌やスタイルはそれほど好みではない。
それなのにいつまでも聴き続けてしまうわけは、やはりそれだけの魅力・・・、楽曲、演奏の魅力が、日本の他のどのバンドよりあるんだと思う。

ちなみにARBは石橋凌のバンドという印象が強いですが、元はギターの田中一郎が中心になって作ったバンドのようである。
石橋凌はオーディションをえて参加したと、以前彼の本で読みました。
田中一郎は、ARBの前はリンドンというアイドルフォークで、すでにデビューしていたようです。
リンドン、あまりのベタな70年代アイドルっぷりに今聴くと笑ってしまう。

 

 


しかし、田中一郎、これだけ初期にデビューしてたということは、早くからプロフェショナルなギタリストだったんだなぁと改めて思う。
ちなみに田中一郎は、わたしのような1970年前後生まれには、イカ天審査員(昭和平成バブル期のアマチュアバンド勝ち抜き合戦TV番組)の印象が強いかもしれないが、ARB脱退後彼は甲斐バンドに入っています。

余談だが、甲斐バンドといえば田中一郎加入前の曲、「裏切りの街角」はわたしが大好きな曲です。
後にヒットした「Hero」なんかより全然好きです。
折を見て自分が聴きたいだけなのですが☟

 

 




そういえば、ARB初代ベーシストの宮城伸一郎氏も、脱退後は有名なチューリップに行きました。
これも、自分が折を見て聴きたいだけなのだが、チューリップにも好きな曲があります。
財津和夫より姫野達也さんの方が好き!
「博多っ子純情」

 

 


しかし当時のバンドは甲斐バンドにせよ、チューリップにせよ、エレキ楽器使ってるというだけで、曲調はまるっきりのムードフォークですね(歌詞が、五月雨、山笠・・・ですよ。)
わたしはフォーク好きなので、ヘタにロック意識の曲よりこういうベタなのにグッときますが・・・


というわけで、まあ話しは飛びましたが、ギタリストが作ったというルーツからなのか、ARBはギターがとにかく魅力的で素晴らしいバンドだと思うのだ。
わたし個人的には、特にこの初代田中一郎のギターが好きなんですが、後を継いだ斉藤光浩(元BOWWOW)、白浜久のギターもいい。

ちなみに、90年代にユニコーンのメンバーを入れて再結成したARBは、聴いてないので良くわからない。

そういえば、最近ARBから石橋凌が脱退したと知りました。
脱退もなにも、あの人のバンドじゃないの?、と突っ込みたくなるが、90年代に参加した若いメンバーも困ってるだろうね(笑)
自分ではなく元はギタリストが作ったバンドだから、周りの目とは裏腹に脱退という形なのかもしれないが、まるでジョー・ストラマーの脱退したクラッシュみたいだ。
俳優業が忙しいのか?

この際いっそ田中一郎や、歴代ギタリストが再参加して、石橋凌抜きのARBにするというのはどうかな?
田中一郎、斉藤光浩、白浜久が順番にボーカルとって、ARB名義で新作作ったら面白そうだ。
というか、石橋凌が抜けた今、ある程度期待してARB再開を見るにはそれしかないだろう。

というわけで、ARB、今はもうバンドの実体もないわけで、いまさらここで宣伝しても仕方ないかも知れないですが、それでもあえて言いたくなったので勝手に書いております。

日本のカッコイイ・R&Rを聴きたい人には、是非ARBを胸を張ってお勧めします!

初期のアルバム、今では入手難しいみたいなので、やや値は張るがリマスターされた2枚組みベスト「魂」がおすすめだ。
これを聴けば、BOOWYなんかがいかにここから頂いちゃってるかわかるだろう。
 

 

 

 

わたしが一番好きな田中一郎期の名曲たち。
 
 

 

斉藤光浩(元BOWWOW)期の、名作「One Way Trip」。
ベースはかのジャン・ジャック・バーネル(ストラングラーズ)だ!
ギターソロがムチャかっこいい。
 
 

 

白浜久が参加していた、80年代後期の名バラード「Dreaming Baby」。
 
白浜さんの時代は、キーボードが前面に出てきたり、派手なギターアレンジなどでかなり大仰な印象になる。
シンプルな初期パンク時代を信奉していたわたしの元バンドメンバーは、この白浜時代のPOPなARBを、えらくけなしていた。
しかし、わたしは白浜久のソングライターとしての才能をかなり尊敬しています。
というのも、それまで散々いろんなことをやり、もうマンネリ、枯れ行くばかりとなってもおかしくないのに、いい意味で腰の据えた新鮮なサウンドを新たに作りだせたのは絶対に彼の功績だと思う。

元々、なんか年寄り臭い石橋凌の、妙な落ち着きにピッタリというか、ギターの音色の騒々しさの割にはガキくさくない、いい大人のロックをやったよなって思います。
おまけに、この白浜時代は他のどの頃より、重く暗く、社会の暗部をえぐるような深い曲が多いんですよ!
仕事が、毎日がうんぬん、青い単純な初期の爆発もいいが、どこか憂鬱なこの時代も負けずにいいと思う。
ARBの完成形サウンドというのだろうか。

それにしても、なんでこんな良い曲が無名なんだろうね・・・

 

 

う~ん、
これらを聴くと、16歳に戻って、もう一度一からバンドやり直したくなりますね。