ここ半年、ずっと緊張して生活していた。九分九厘、始まる抗がん剤治療への不安でいっぱい。先のことを考えると答えは出てこない。そこで今できることを少しずつ準備するしかない。ところがまた治療を先延ばし。まだ差し迫った状態ではないことに、ちょっと安どしている。
検査結果が出た翌日に歌舞伎観劇の予定を入れていた。落ち込んでいたら出かけなければよい。明るい気分になったら行けばよいと、友人に切符を買ってもらった。出し物は吉右衛門演じる「孤高勇士娘景清」。
歌舞伎のきらびやかな場面は、大仏殿の再興だけ。華やかな場面はほとんどない。滅亡した平家への思いを断ち切れず、一人相撲を取っているような是清。ところが娘の体を張った父親思いの行動に心を動かされ、頑固な塊がすっと解ける。えっ!単純すぎる!それまでの暗いシーンが、一気に明るくなるのは、不本意。侍は死ぬまで信念を貫き通さねば。そう思うのは古い人間の価値観?急転直下の明るい場面転換に、ちょっと不満だけど安心したのも事実。
気分転換にはやっぱり明るいストーリーが良い。良かったのだ。これで本年の歌舞伎鑑賞は最後。来年はどんな気分で舞台を拝見できるか