最近電話を介する犯罪が頻発している。 銀行に行けば、おれおれ詐欺に引っかかっていないか、警備員がATMの機械のそばにやってきて、「送金ですか」と声をかけ、注意を促す時代だ。
 
だから電話がかかってきても、自分の名を名乗らないようにしている。先日、午後3時ごろ、出掛けようとしていたところに変な電話がかかってきた。
「もしもし」。
相手も「もしもし」
「もしもし」
「もしもし」
相手が名乗らないので黙っていた。
「誰だかわかる?」これだけでの声で相手が判明するのは、相当近しい人間だけだ。それになれなれしい。いったい誰だろうと考える。それにしても用事があって掛けてきた本人が、名前を名乗らないのは怪しいし失礼。沈黙。
 
「0ちゃん?」滅多に電話で話したことない人だけど声が似ていた。
「そうだよ。直ぐ分かんなかった?」
「今、いろいろ犯罪があるからね。」と私。
「そうだね 巻き込まれないように注意しなくちゃね。」犯罪者でないような言葉。これからが本題。
 
実は鞄をなくしてしまった。怪しい!おれおれ詐欺の常道だ。鞄には携帯はもちろん財布、会社の書類が入っていた。携帯がなくてどうして私のところに電話できた?番号を暗記しているほどよく電話する相手ではない。
 
これから部長に相談して、警察に届けを出すが、私のところを連絡先にしてほしい。何故、自分の親でなく、私に?
遺失物係から電話が行くから、出かけないで待っていてほしいと念を押す。これが手なのか。息子のいない私のところにまで、魔の手は近づいている。それとも私の息子という前提で電話してきた?
 
「分かった分かった。」と電話を切るが、何とも不愉快。それにしても声が、Oちゃんにそっくりだったのは何故?電話を切るまで半信半疑ながら、もしやと思っていた?
 
当然、私はすぐに家を出た。留守電が入っているか、録音されるのを恐れてメッセージを残さないか、楽しみのような怖いような。
 
会社の書類に小切手が入っていてなどと言って、助けてほしい、と話が発展するらしい。要注意!
 
夕方、我が家に戻ると、電話機に留守電なしで一件落着。その後も電話はない。ただ単なる愉快犯だったのか。