九州の平戸がここ数日身近になっている。
 
たまたま図書館で見つけた本が、童門冬二著の「松浦静山 夜話語り」。 歴史物の番組によく登場する作家で、歯切れの良い江戸っ子弁を彷彿させる作品だ。読みやすくて面白い。松浦とくれば松浦藩。九州の平戸の藩主だ。
 
運動仲間からお出かけの誘いがあったが、読書のほうが面白くて断った。
 
「どんな本?」と、クラブのサウナで質問された。概要を話していると、
「松浦なら九州の話?」
「私、三年前に平戸へ行ったよ」歴史に造詣の深い人が、結構いた。話はどんどん膨らむ。
実は私は大学卒業寸前の三月に、一人旅で平戸へ行っている。峠から見た平戸の鏡のような海、博物館で見た「日本恋しや恋し」と墨で書かれた五センチ四方くらいの大きさの布団。細い坂道など、断片的な記憶がよみがえった。
 
昨日もサウナで「あの本、読み終わった?」で話が平戸に。
 
そして今日、映画に行かないかという誘いにのって、見たのが「あなたへ」という作品。 高倉健主演で、平戸出身の妻が亡くなり、平戸の海に遺体を流してほしいという妻の遺言を実行しようとする。またも平戸なのだ。
 
言葉少なく誠実な彼に、いろいろな男の人生が絡んでくる。そして平戸に。私の眼は、平戸の海に、街の風景に、記憶の糸を引き寄せる。時は過ぎ、人は変わり、町並みは変わり、記憶はあいまいになり、それでも懐かしい。
 
この映画の最後の方で出てきたのが、散骨に協力してくれた船主、大滝秀治。
「まだ元気だったんだ!」
「高倉健と同じくらいの歳?」なんておしゃべりをして家に帰ったら、テレビで大滝秀治が癌で亡くなっていたことを報道していた。それも肺がん。彼の最後の作品を見てきたことになる。最後の最後まで役者として生き抜いた俳優だったのだ。立派!ご冥福を。