16日の午前中、三越で院展をみる。 今年は殆どの画家が、東日本大震災への思いを込めた、鎮魂、希望、絆などが底流にあるのか、静かな、落ち着いた日本画が多かった。鑑賞する側に、その思いが強かったのかもしれないが、多くの作品に、その心を重ねあわそうとしていた。日本画を見ている時間は、ゆったり、静かな平和な気分に浸っている。
午後、そのまま帰宅するのは勿体無い。足を伸ばして、目黒の国立東京医療センターの、2時からの市民公開講座に参加することに。副院長による「肺癌になってしまったらー治療は進歩しました」
昔は術前の検査が十分ではなかった所為か、手術してもすぐ再発して亡くなることがあったが、近年は検査の方法が進化し、しっかりと病巣の検査が出来るので、的確な手術が可能になり、当然、生存率は上がっている由。
肺癌の発生は気管支上皮に。気管支とは、喉から真下に太く連なっている部分だけかと思っていたら、先へ先へと分かれていること23,4枝全部だという。三椏という紙の原料になる植物があるが、あれは枝がすべて几帳面に3つに分かれている。肺はこれの人間版で、すべて二股分れなのだ。生物の発生は元をただせば、ひとつ。肺は植物の名残のパーツか。
気管支の膜を通して空気と血液が触れることにより、酸素と一酸化炭素が交換される。ここに癌が発生するのである。タバコの煙など,直に気管支にどんな悪影響を与えるのか、自明の理。
外科は局所根治で、今は胸くう鏡による手術がほとんど
化学療法は全身治療で、プラチナ系とニュードラッグの組み合わせ,再発の場合は単剤。遺伝子変異の検査による的確な分子標的薬の投与。副作用を軽減させる支持薬もどんどん開発され、化学療法の苦しさは少しは緩和されて来ている。とはいえ化学療法は副作用がきついので、75歳位までだという。どうやら現在は3期以降の患者が対象らしい。
ただ、1B 期の患者へ2年間UFTを投与すると、顕著ではないが、生存率は確実に上昇。これを私は3ヶ月しか続けられなかったのだ。
放射線療法は,局所根治と緩和が目的で、リニアック、SRT,IMRT,重粒子、ガンマナイフなど。治療施設の少ないのが難点だが、新しい治療法は開発されている。
免疫療法はまだ結論に達していないが、実験的には有効な療法といえる。
色々な治療法を組み合わせる集学的治療で、肺がんといえども、必ずしも死に直結した病ではない。
自分の知識を再確認した講座であったが、私はまだ死なないことを確信した。今月の検査でどんな結果が出ようと、治療法はある。
外に出ると、駒沢公園の柳が揺れている。その緑が美しい。 日中の残暑はやっと少し収まったのか、風が心地よい。