電車の中でお喋りをしている人たち。その音程の違いで、中国人であることがわかる。 しかし最近は車両の中が静か。原発事故の後、すっかり外国人の姿が消えた。 
 
即時国外退去を言い渡した国、80キロ圏外に退避命令を出す国など、原発事故に過敏に反応する国が多いのに、実際に生活してる私たち日本人は、複雑な気持ちでいる。
 
「あなたは中国に帰らないの?」スポーツクラブに来ている若い中国人女性に尋ねた。
「帰らないよ。 ここは安全だよ」に一寸うれしくなる。彼女には情報がちゃんと伝わっているようだ。
「帰国命令は来なかったの?」
「命令、ないよ。」どうやら在日中国人全員に帰国命令が出たという情報は正しくないようだ。中国人の退避が余りにも急であったので、共産圏では政府の言うとおりにしないと後々が怖いので、皆尻尾を丸めて逃げ帰ったと思ったが、実際は、自己判断で残っている人もいる。
 
「地震、津波、怖いよ。放射能、もっと怖いよ。日本が住めなくなったら、日本人、皆、中国へ移住すればいい。中国、大きいから、住む所、いっぱいあるよ。吉林省には朝鮮人が一杯いるよ。昔、集団移住したよ。」たどたどしい日本語で話す。
 
我々が避難民になることは、現実として考えられないけど。
 
政府は別として、中国人が広く避難民を受け入れる気持ちを持っていると思うと、うれしくなった。 彼女が学校で日本についてどんな教育を受けてきたか、想像できるが、実際に日本で生活してみると、本当の日本人像がわかって、親日家となっている。国家間の摩擦は、庶民一人一人の付き合いから、大きな変化のうねりとなることを実感した。