カランッカランッ
今日は11時30分オープンと同時に客足が絶えない。いま7割ほど席が埋まったところだろうか。
今日も楽しい1日になりそうだ。

ただ一つだけ問題を残して・・・・


朝10時 10分前、店に着くといつものようにシャッターを開け店内に入る。

すると、

プルルルルップルルルルッ。。。。。プルルルルップルルルルッ。。。。。

電話の鳴る音が聞こえた。慌てて階段を駆け下り電話の受話器を取る

「お待たせいたしました。レストラン ジャファンスでございます。」

(もしもし、良かったぁ。今日はランチやってます?4人で11時30分に行きたいんやけど?電話番号言いますね 090-01)

「おっ お客様!お待ちください!」 何て慌しい方なんだ・・まくし立てるようにしゃべるお客様の会話を制しもう一度改めて聞きなおす

「ランチは営業しておりますのでご安心ください。もう一度お伺いします。4名様で本日の11時30分ご来店でよろしいですか?」

(やってんねんな!4人で頼むで。ヨロシク!) 

「お客様!ご予約のお名前!(プップープープー…)ど・な・た・さ・ま……。」 ガチャッ

結局最後までお客様のお名前を聞くことが出来なかった。どうしたものか。
とにかく、人数と時間は聞けたから良いが 名前がわからないのは失礼極まりない。
まぁ、仕方がない・・・あっ! 電話番号も聞けて無いじゃないか!
情けない、こんな年にもなって・・・・一人落ち込んでいた。

わたしは意外と落ち込みやすいタイプの男だ。

自分では都合よくとらえるようにしている、自分を見つめ直す為の時間なんだ・・と。

まだ目を覚ましていないレストランに電気を付ける。

エスプレッソマシーン・洗浄機・トイレと順に叩き起す。

いつものように朝の準備を始めよう。いつものように・・・。


カランッカランッ!

「おはよう~」

「おはようございます。」

「ちょっと今から買い出し行ってくるわ。何か買い物ある?」

ヨナさんがいつもより早めに出勤してきた。

「特に必要なものはないですね。今日は予約で満席になりましたよ。」

「そうなんや!最初は何時のお客さん?」

予約台帳を見直す。またちょっと落ち込んだ。

「11時半に4名・4名・2名ですね。4名は今予約が入ったところです。」

一組は名前も電話番号も分からないんですけど・・・・とは言わなかった。

「今日はJPランチ入ってるやんな。じゃあ大丈夫やろ。」

JPとはアルバイトのスタッフのことで、なかなかの男前で人気がある。

ヨナさんを見送り準備を再開する。

それと入れ違いに JP が出勤した。

「おはようッす」

「おはよう」

パーマに無精ひげ。うまく自分に合わせたスタイル。
彼は自分を良くわかり、無理をしないタイプの男だ。

「何しましょうか? 今日は早い時間予約いっぱいですね。」

「ああ、とにかくいつもの用意を頼むよ。シェフが帰ったらエスプレッソ頼むな」

OKです と言うと JP は仕事を始めた。


ランチまであと一時間・・・今日は戦争になりそうだ。

                                                    つづく


次回 第三話 『JP 大活躍』



11月のある日、1人朝の缶コーヒーを飲みながら眠たい目をこすり私は歩いていた。
最近は歩きながら人間観察をするのが朝の日課だ。

目的地に着き目の前のシャッターに鍵をさす。いつもながら重たいシャッターだ。
一気に上まで押し上げると小さな入口が現れる。

ここが私が働く『小さなレストラン』だ。

一階にあるこのお店は扉を開けるとすぐに地下へと下りる階段が現れる。その階段を下りると右側にカウンターが現れ、カウンターの左奥には割と広めのキッチン、カウンターを挟んで左奥にはテーブル席が四つある。
白色と木目を基調とした店内はレトロで何か懐かしい感じのする隠れ家のような場所だ。

パチッ!

電気を付けるとレストランが目を覚ます。

(よし!始めますか。)

と心の中で独り言。まずは、掃除機から始める。
朝のレストランは仕事が多い。トイレ掃除やテーブルセッティング、玄関の掃除に数え上げるときりがないほどだ。

「おはようさん。」

「おはようございます。あれ、朝から買い物してきたんですか。」

「そう。ちょっと混んでて遅くなっちゃってん。ごめんよ」

少し遅めに出勤してきたのはこのレストランのシェフである。
名前は「世名城」 みんなには「ヨナさん」の愛称で呼ばれ、太り気味だがいかにも美味しい料理を作りそうな体系だ。

「あれっ、今日 JP は?」

「今日は来ませんよ。だからランチは2人です、夜からルディが来ます。」

少しあわてた様子のヨナさんだが、まぁ大丈夫だろう。

今登場した『JP』と『ルディ』はアルバイトのスタッフで二人とも元気のいい若者だ。

一通り朝の仕事を終え本日のメニューを確認する。
本日はキッシュランチとパスタランチ、メインランチにフルコースランチだ。

「はいよ!今日のメニューこれでヨロシク」

「ありがとうございます。
 キッシュランチはキノコのキッシュ
 パスタランチは、茄子とベーコンのトマトソースパスタ。
 メインランチは真鯛のポワレアンチョビを使ったクリームソース 又は 鶏モモ肉の赤ワイン煮か。
 フルコースのランチは『お客様に合わせて』っでいいですか?」

「それでヨロシク!」

うん、美味しそうだ!
早速、メニューを黒板に書き込み 店内のメニューにも書き込む。
準備完了。時刻は午前11時10分を少し回ったところだ。
店内のチェックをして11時25分。
階段を上がる。
上がるその途中に 光が差し込んできた、朝は重たい空気と今にも雨が降りそうな雲行きだった。
前を見るとガラス張りの扉の前にいつものお姉さんが一人立っていた。
軽く会釈をしてキッチンに声をかける

「天気良くなりましたよ!暖かくなってるし」

「よかったわ~。帰りバイクやけど大丈夫かな?」

「多分ね。外でお客様お待ちです!オープンします。」

「あいよー!」

いつも通りの掛け声に、他愛のない会話を一つか二つ。
これもいつもの開店風景。

カラン、カラン。

扉に取り付けた鐘の音。

「いらっしゃいませ。今日はお一人ですか?」

「そうなんです。ちょっと急いでて。キッシュランチで!」

「かしこまりました。どうぞ、お一人様です。」

「いらっしゃいませ!」

こうして僕らの働く『小さなレストラン』でまた今日も一つ物語が生まれる。
                      
                         つづく


次回 第二話『ランチは戦争』 をお送りします。                                              







みなさん、はじめまして。

私は、とあるレストランでサービスマンをしている『リョウ』といいます。

このブログでは、わたしの働くレストランで起こる

様々な物語を私の目線で皆様にお伝えしていきます。


このレストラン、めちゃくちゃ面白いんです!!

いろんな人食材料理ワインワイン

たくさんの出会いがありますニコニコ

そのほんの少しですが皆様にお話ししようと思います。

さぁ、今日はどんなことがあるか楽しみです音譜