またしてもダラダラ映画感想文の続き。

『プールサイドマン』

東京国際映画祭の記事では以下のように紹介されています。

 * * *

単調な日々を送るプール監視員が、欠員が出た隣町のプールに出向いたことで味わう不条理を追う。

プール監視員の経験がある渡辺監督は、「多面的なテーマを盛り込んだので、無限の解釈をしてほしい。

ただ大きなテーマのひとつは、テロリズム、暴力、殺りくの時代に生きている日本人を追究しようということ。叩かれるのは覚悟の上で、かなり強い決意で作った」と全作を通じて一貫している映像表現を強調した。

 * * *

難しい話はよく分からないけど、世界中が脅かされているテロリズムの脅威、テロに限らず自分の行動が他者をどれだけ苦しめるか想像できなくなっているのが今の世の中なんじゃないかな。

いつ暴力に巻き込まれるか分からない世界に生きていて、よく「時代性」がどうのという論調も聞くけれど、「時代性」というのはこの地球上に生きている私たち一人一人が、様々な国や環境のもとでつくっているものなので、「時代」などという曖昧なものに責任転嫁するべきではないとも思ったりもしている。

自らの殻に閉じこもる事で他者への関心を持とうとしない無関心の延長線上にある他者排除の風潮があって、世界と日本の行く末への不安、不満、焦燥感に満ちている。

自分の不安と不満、それを周りの“何か”に責任転嫁していないか、日常生活を振り返って、自分自身にも問いかけるキッカケとなる作品だと思った。

特に私が衝撃を受けたのは、欠員補助で主人公の水原と一緒に隣町のプールに共に赴く事になった同僚・白崎の台詞「人間は迷惑な存在」という考え方。

迷惑な人というのは確かに存在する。でも、人間そのものが迷惑な存在というのなら、いったいそれを言う人って何なの?と思ったのだ。

「自分も迷惑な存在」だと思っているのか?それとも、自分にとって他者が迷惑(邪魔)な存在だと思うから、そのような考え方になっているのか。

白崎の発言は、ことごとく他人をけなすことに終始している。

最初の内は真面目に物事を考える人なのかと思って台詞を聴いていたが、その内に“考え方の違い”というものを超えた不快感や不条理な感情がこみ上げてくる。他人をディスる割に、聞きたいとも思えない話を狭い車内でデカイ声で延々と喋りまくるこの男は何なのか、と。

「嫌われ者」という設定もうなずける。

(ドラゴンボールとONE PIECEの対比の理論にも驚いた。良いとか悪いとかでは無く。)

その一方、私にもそういう部分がないとは言えないな〜、と自分の日頃の言動や考え方を振り返ってみる。

自分が「正しい」と思う主張は他人にとってどうなのか。言動や言葉に使い方ひとつで他人を不快にさせていないか。

暴力に限らず、人との接し方や考え方の違い、周りの態度への不満…揚げたらキリがない。

その中で、他人との差異を受け入れ、人に対する理解と思いやりの気持ちをまず持ってから相手に対することができているか…うぅ、胸がムズムズしてきた、ヤバい。

自己反芻も碌にしないでイヤな事、不快な事を周りのせいにしていないか…。

「他人の振り見て我が振り直せ」。日本に古来から伝わる格言に無駄な事は何一つないんだね。

短気な私はつい不快な感情を言動に出してしまってから反省する。その繰り返しで、自分がイヤになることがしょっちゅうなのでますますモヤモヤする。

人によって考え方や行動が異なるのは当たり前だが、違いを認められず、自己主張ばかりしている世相が、日常の対立感情や憎悪、ひいては暴力や戦争を引き起こすんじゃないのか。

周りを批判する前にまず自分のエゴイズムを乗り越えようとするべきだと思う。

テロリズムも、その原因となったこれまでの様々な歴史上の事件や軋轢など、その根本は他者を尊重出来ない「人の心」や「自己優先ばかりの主張」で、他人や他国に心を寄せることが出来ていないことでないのか。

世の中をどうこう言う前に、まず自分が身近なところで誤解や憎悪を生み出さないよう努力しなくては。

「誤解」ではなく「理解」を、「憎悪」ではなく「愛情」をもって接することの出来る人間になりたい。

すぐに出来なくても、そうするよう心がけるだけでも心の閉塞感は払っていけるはず。

そしてそういう人が増えれば増えるだけ、混沌とした世界を変えていけるだろう。

こんな事をじっくり考えさせてくれる映画はなかなか無い。

よく作ったなぁ…。大田原愚豚舎は凄い。

☆余談だけど、この映画に出てくるプールは開放感があってなかなか素敵。

さて、4作品連続 東京国際映画祭出品の快挙を成した大田原愚豚舎の最新作『地球はお祭り騒ぎ』はどんな映画なのか?

タイトルからして素敵すぎて、期待感は膨らむ一方の今日この頃☆

横浜のミニシアターに大田原愚豚舎の特集上映をリクエストしているのだが、東京から近くて進取の気質に富むなどと言われる割にコンサバな横浜では、このような実験的でアヴァンギャルドなインディペンデント映画は、なかなか上映してくれないんだよね〜。

今年も4作品連続で東京国際映画祭に出品という快挙を成し遂げたので、また懲りずにリクエストするつもり!