◆妊娠32週健診
里帰り前の最後の検診。医師に紹介状の作成を依頼する。また、最近は一日に数回ほどお腹の張りを感じること、数回ほど水のようなオリモノが出たことを話すと、念のため内診をすることに。
そこで驚きの事実が明らかになる。
「まずいですね。子宮頚管が15mmしかありません」
「はあ……。それって、普通はどのくらいあるものなんですか?」
まったく状況が呑み込めない私に、医師は説明した。

通常、この時期の子宮頚管は通常40mm程度あり、短い場合、”切迫早産”といって、生産期より早く出産に至ってしまう可能性があること。
そのため、病院によっても異なるが、25mm以下では自宅安静や管理入院が必要になるとのこと。35週までの早産や、子が2,500g未満で生まれた場合は、小児科のある総合病院でしか対応が出来ない(つまり産科の個人クリニックでは不可)こと。
そのため、里帰り先の個人クリニックへ受け入れが可能か確認を取らなければならず、もし無理なら別の受け入れ先を探すか、里帰りを諦めなければならないということ。

予想外の展開に、私は戸惑った。
というか、20週健診で測った時、33mmあるから問題ないとの診断だったよね?普通は今の時期でも40mmあるって、それ20週33mmの時点で危なかったのでは……?
どうして今まで指摘してくれなかったのか……?
などと、一気に医師への疑問と不信感で頭がいっぱいになってしまう。

その後、医師には、翌週までの自宅安静と子宮収縮抑制剤の服用、里帰り先への確認を指示された。
内服薬は、子宮収縮抑制剤(ウテメリン5mg×1錠)を1日3回。
ただし薬はあくまで気休めで、安静が第一だと説明を受ける。

その日から仕事は休み、なるべく体を横にする生活をした。
また、里帰り先の個人クリニックへも電話で確認を取った。
※ちなみに、連続3日以上病気で仕事を休んだ場合、4日目からは健康保険の傷病手当金が支給される。該当する方は要確認。

◆妊娠33週健診
本来は健診のない週だが、経過観察と今後の相談のため受診。
子宮頚管長16mm。
里帰り先の個人クリニックからは受け入れ可能との回答を得ていたため、予定通り紹介状をもらう。その週末、実家へ帰省する。実家でもほぼ一日寝たきりの生活をする。

◆34週2日 健診
里帰り先の個人クリニックを受診。
子宮頚管長13.9mm。
「かなり短いが、この週数まで大きな体調の変化もなく持ちこたえているので、引き続き自宅安静で様子を見ましょう」と医師から診断。
子宮収縮抑制剤(ウテメリン5mg)×2錠を1日3回、7:00/11:00/23:00の8時間ごとに服用。転院前の病院では一日三回食後に服用とのことだったが、薬の血中濃度を一定に保った方が効果が高いとのことで、8時間ごとの服用を指示される。

◆34週5日
深夜に早朝に張りと強い腹痛があり受診。そのまま入院に。35週までに生まれてしまうと早産の扱いになるため、36週に入ったら退院ということになる。
子宮収縮抑制剤(ウテメリン50mg×2単位=100mg)を、24時間持続して点滴。
投与量は30ml/h。
点滴開始後から、次のような副作用が出る。
動悸、手の震え、頭痛、不眠
動悸や手の震えについては事前に説明があったが、頭痛や不眠が出たのは辛かった。
どうやら血流に作用する薬のようなので、もともと片頭痛持ちの私には、頭痛という形で副作用が現れたようだ。

◆35週0日
頭痛や不眠の症状で二日間ほとんど眠ることが出来なかったため、医師の診察で不調を訴える。
この頃が妊娠全期間を通じて一番しんどかった……。
入院以来は強い張りもないので、出来る限り早めに退院したい旨を伝える。
医師からは「入院時に張りの症状があった以上、35週中に退院させるわけにはいかないので、徐々に点滴を減らし、36週0日の退院を目標にしましょう」と言われる。
頓服で解熱鎮痛剤(カロナール200mg×1回2錠)と睡眠導入剤(ハルシオン0.125mg×1回2錠)を出される。
体調不良で入院したのに、点滴の副作用を抑えるためさらに薬を飲むという状況には抵抗があったが、36週を目標に頑張ろうと決意する。

◆35週2日
子宮収縮抑制剤(ウテメリン50mg×2単位=100mg)の点滴を、30ml/h→25ml/hへ下げる。

◆35週3日
子宮収縮抑制剤(ウテメリン50mg×2単位=100mg)の点滴を、25ml/h→20ml/hへ下げる。

◆35週4日
子宮収縮抑制剤(ウテメリン50mg×2単位=100mg)の点滴を、20ml/h→15ml/hへ下げる。

◆35週5日
子宮収縮抑制剤(ウテメリン50mg×2単位=100mg)の点滴を、15ml/h→10ml/hへ下げる。
お腹の張り返しがないことを確認して、点滴抜去。
退院の日まで様子を見て、張り返しがあれば再び点滴を行うとのこと。

◆36週0日
36週に入り、張り返しもないため午前中に退院。


◆入院中に行われたこと
①子宮収縮抑制剤(ウテメリン50mg×2単位=100mg)を溶かしたブドウ糖注射液5%を、24時間持続して点滴。
(最初は30ml/h→後25ml/h→20ml/h→15ml/h→10ml/hと段階的に下げる)
②1日1回のNST(胎児の心拍やお腹の張り具合を監視する装置)を装着し、モニターで観察
③1日2回(朝晩)のドップラー(胎児心拍聴取)
④1日2回(朝晩)の血圧測定
⑤採血(入院時)
⑥診察(体調に異変が起こった時など)

◆入院中のスケジュール
7:30ころドップラー・血圧測定
8:00朝食
9:00検温
  温かいタオルでの清拭orシャワー
午前中 NST 約40分
12:00昼食
14:00~20:00面会
18:00夕食
20:00ころドップラー・血圧測定
21:00消灯

■所感
4人部屋での入院で、他の3名も切迫早産での管理入院だった。28週から30週頃の妊婦健診で、子宮頚管の短さを指摘されて入院するケースが多い模様。35週までに生まれてしまうと早産の扱いになるため、36週に入るまでの、6~7週にわたる長期入院の方が多かった。食事の際はカーテンを開けて世間話や育児の情報交換が出来て、気が紛れた。

ちなみに、子宮頚管はこまめに測る産科と測らない産科があり、入院の基準も異なるようである。私の通っていた産科は20週に一度測り、25mm以上ならOKとして以後はお腹の張りなどの症状を申告しなければ測らない方針だった。私自身も20週時点で33mm、全く問題無しと診断されていたため、以後まったく気にしていなかった。
これを入院中に同室の方に話すと「20週で33mmはかなり短い方なのでは……?」と言われた。長期の入院が必要となるケースも多いのだから、このあたりの基準はきちんと統一して、妊婦に周知徹底してほしいと感じた。

入院中に一番辛かったことは、ウテメリンの24時間持続点滴。
副作用で動悸や手の震えのほか、頭痛や不眠も出てしまい、解熱鎮痛剤や睡眠導入剤も服用せざるを得なかった。基本的に点滴は一週間で針を刺し替えるが、長期になると数日しか持たなくなり、また静脈炎(腕が虫刺されのように腫れる)も多くなる。またシャワーの時は点滴を外して針の部分を腕にサランラップで固定するのだが、微妙にずれたりして刺し替えになることもあるらしい。

二番目に辛かったのが、一日中横になっていなければいけないこと。
立ったり座ったりするのは子宮頚管に負担がかかるのでNGと指示されていた。
ただ、病室はテレビや無線LANが自由に利用出来たので、環境には恵まれていた。
また産科に力を入れている個人クリニックなので、食事やおやつが豪華で美味しく、毎食楽しみだった。