ここからは箇条書きです。稽留流産についての記載がありますので、ご注意ください!

 

■第一章 あらすじ
初めての妊娠が判明し産婦人科クリニックを受診したところ、7cm大の右卵巣嚢腫の存在を指摘され、総合病院への紹介状を出される。(妊娠合併卵巣嚢腫)
紹介先なら、安定期に腹腔鏡で手術をすることが出来るとのこと。
7週1日、総合病院を受診。
胎嚢が育っていないため稽留流産の疑いがあるとの診断。
10週0日、流産手術(子宮内容除去術。1泊2日)。
1ヶ月半後、右卵巣嚢腫(奇形腫)核出術(腹腔鏡。4泊5日)。

◆6週1日
妊娠が判明。ちょうど友人に妊娠や出産の報告が多い年齢なので、嬉しく思う。
かかりつけ医は婦人科のみだったため、産科のある近所の個人クリニックを受診する。
内診後、医師より「通常は3cmほどの右卵巣が7cm大に腫れており、卵巣嚢腫が疑われるので、総合病院への紹介状を作成する」旨、説明される。
それまで自覚症状がなかったため驚く。
実は5年ほど前の勤め先の健康診断で一度卵巣嚢腫が疑われたことがあるものの、再検査で問題なしとされ、以後の婦人科検診では全く可能性を指摘されていなかった。
ともあれ、妊娠中でも卵巣嚢腫の手術は出来るとのことだったので、一安心する。


◆7週1日
妊娠合併卵巣嚢腫にて、総合病院の産婦人科を受診。
担当は自分と同世代の男性医師だが、すごく疲れた表情をしていて、愛想がない。
この人苦手だな、と失礼ながら思ってしまう。(後に印象が変わる)
卵巣嚢腫の手術は妊娠14週頃に腹腔鏡で行うことなどの説明を受け、納得する。
だが、内診をして状況は一変する。
エコーで胎嚢13mm。妊娠4~5週程度の大きさしかないため、今回は妊娠の継続が厳しいかもしれないと言われる。
「流産の確率は全妊娠の15%。つまりは妊娠で病院に来た妊婦さんの6人から7人に一人の確率で経験する、ごくありふれたものです」とのこと。
初めての妊娠でこれからのことが楽しみだったので、残念に思う。
出血して胎嚢が体外に排出された場合は、ジップロックのような袋に入れて病院へ持参するよう指示される。
10日ほど経過観察となる。

また、内診時に子宮の入口にポリープ(子宮頚管ポリープ)があると指摘される。
「今、取りますか?痛みはないですよ」と言われるが、とっさに「いいです!次の時にします」と言ってしまう私。
次回の予約とMRI検査の予約(約45日後)を取る。

◆8週2日
仕事中、座って事務作業をしている時に出血。鮮血で、痛みは無し。

◆8週5日
流産が確定する。胎嚢の周りに血があるとのこと。手術は10週0日に決まる。
午前中にラミナリア(海藻から作られる棒状の器具。水を含ませ膨らむ力で子宮口を開く)処置をし、午後に子宮内容除去術という方法で手術をすることになる。
5分程度の簡単な手術だが、1泊の入院が必要とのこと。
卵巣嚢腫の手術はそれから約1ヶ月半後を予定。

内診時に、前回積み残しとなっていた子宮頚管ポリープを切除してもらう。本当に一瞬で痛みもなく、驚く。


その後、手術前日まで時々出血がある。多くは少量。一度、自転車に乗っている時に多量の出血あり。5cm大の塊も一緒だった。痛みは無し。
悪阻の症状や胸の張りの方が辛かった。


◆10週0日 手術当日
◆08:50
医師による診察。やはり胎嚢は大きくなっておらず、流産確定。
子宮頚管にラミナリア留置。(Lサイズ1本、と医師が看護師に指示をする声が聞こえた。)入る瞬間は、何かが挟まるような感じを受ける。その後、ラミナリアに水を含ませる。最初は違和感があるが、12時頃には消える。

手術は15:00頃からなので、1時間前に付き添いの家族に来てもらうよう指示される。
夫にその旨、メールをする。

◆13:25
点滴を始める。中身は栄養(?)。

手術室の看護師が病室に来て、挨拶。
体調の変化や気になることなどを尋ねられる。とても丁寧な対応。

◆14:00
付き添いの家族(夫)が来る。することもないので本を読みつつ時間をつぶす。

◆15:05
手術室に呼ばれ、病棟の担当看護師とともに部屋を出る。
エレベーターで中央手術部に向かう。てっきり外来の診察台のようなところでの手術だと思っていたので、ドラマに登場するような手術設備の部屋に案内されて戸惑う。

手術室の看護師二人が担当につく。
おそらく新人さんで、とても明るく丁寧。
多分、患者を不安にさせないためなのだろうなあ……。

◆15:15
中央手術部の11室ある手術室のうちの1室で手術。
入口が自動ドアだったりして、本格的な雰囲気に気後れする。
手術台に横になると、顔の前に仕切り板を取り付けられ、向こうが見えない。ちょっと怖い。頭上には手術用のライト。周囲にはたくさんの機械が置かれている。心電図や血中の酸素を測る機械、酸素マスクを着けられる。

最初にぼんやりとする点滴(セルシン?)を入れられる。視界が少しかすんだようになる。
二番目に、静脈麻酔を入れる(ケタミン)。急にサイケデリックな黄色の谷に飲み込まれ、茶色のレンガ模様の帯が迫ってきたり、赤い毛糸の紐と一緒に漂ったり、カラフルなトンネルの中を猛スピードで進んで行くような不思議な夢を見る。
一度、引っ張られるような痛みの感覚があり「痛い痛い痛い」と言うと、看護師に手を握られる。しかし、サイケデリックな夢の方が現実で、看護師の手の感触が夢であるような、不思議な感覚。

「終わりましたよ」の声で目が覚める。
驚いた私は、看護師に今見た夢のことを説明する。今考えると恥ずかしい。
朦朧としたまま、手術台からベッドに移され病室まで運ばれる。家族は医師から「麻酔の影響で多弁になっています」と説明を受けたらしい。
※ちなみに後日、この「ケタミン」という麻酔薬には幻覚作用があり、麻薬にも指定されているのだと麻酔科の医師から知ることになる。

◆16:15
ベッドに乗せられ病室に戻る。
徐々に意識がはっきりする。

◆17:00
手術後の点滴(ブドウ糖)を入れる。
体温は37.1度。

◆17:30
看護師に付き添われトイレへ行く。
出血(鮮血)少々有り。

◆18:00
夕食(体調が回復してから食べられるような軽食)が出る。
内容は、食パン2枚、りんごジャム、マーガリン、チーズ1切れ、オレンジ3切れ、牛乳200ml、ほうじ茶

◆18:45
ベッドで医師と面談。
「騒いでしまってすみません、痛くなかったんですよ」と私が言うと
「いや、痛かったんだと思います」と医師に笑顔でコメントされる。
この先生、意外とシュールで面白いかも……と思う。

◆19:00
点滴抜去。体温は36.5度。
トイレへ行く。少し出血あり。以後も出血はあるが、だんだんと減っていく。
薬剤師が来て、内服の子宮収縮剤5日分を渡される。

◆20:15
歯磨きと洗顔を済ませ、就寝。


■手術翌日
◆06:15
起床。血圧&体温測定。体温は36度台。その他、特に異常なし。

◆06:30
トイレへ行く。出血はほんの少し。

◆08:00
朝食。常食。
内容は、ご飯、キャベツと麩と里芋の味噌汁、ワラビの煮物、秋刀魚の煮付け、ゆで卵、牛乳200ml、ほうじ茶

◆10:20
病棟担当の医師による退院診察。
その後退院。

◆手術から一週間後までの経過
太ももが筋肉痛のように痛む。ネットで検索してみたところ、子宮収縮剤の副作用の模様。その後、出血(茶色のオリモノやほんの少しの鮮血)もあるがだんだんと減っていく。手術から二週間経つ頃には、出血もほぼ無くなる。

◆手術三週間後
再診。術後の経過は問題なく、また病理検査の結果も胞状奇胎などではなかったとのこと。翌々月の卵巣嚢腫の手術に向け、術前検査や家族への説明の日取りを決める。

「次の妊娠はいつから出来ますか?」
と質問した私に
「手術が終わってからにしてください!!!!」
と慌てて答える医師。
私、そんなに急いでいるように見えたのだろうか……。
ともあれ、すぐに妊娠可能な体であることに安心する。
あとこの医師、受け答えがシュールで面白いかもと改めて思う。
ちなみに窓口での支払いは220円(検査費用等は入院費に含まれていた模様)。


■所感
妊娠判明、個人クリニック受診→妊娠合併卵巣嚢腫との診断で総合病院へ紹介→稽留流産で10週に手術(子宮内容除去術)という、めまぐるしい経過だった。

ネットで検索すると、ラミナリアが激痛だったとか、陣痛より痛かった(分娩時にも使用する場合がある)、などという声も出てくるが、私はそこまで痛みはなかった。何か挟まっているような違和感で、痛みで例えるなら、術前から術後の点滴針と同程度。

手術はサイケデリックな色の渦に揉まれている間に終わった。これはケタミンという静脈麻酔に強力な幻覚作用があるためらしい。ちなみにこのケタミン、麻薬指定を受けた薬物だと麻酔科医(卵巣嚢腫手術の前日に面談)に教えてもらった。
ひとこと事前に説明してほしかった……。
あまりに驚いて手術後に多弁になってしまい、それが恥ずかしかった。

あとは、退院から数日間、太ももに筋肉痛のような痛みがあった。薬の説明には書いてなかったが、ネットで調べたところによると子宮収縮剤の副作用のようである。

費用は一泊二日で32,000円ほど。個人クリニックでの日帰り手術ならもっと安く済むかと思う。また、医療保険(ア〇ラック等)から入院給付金(2日分)と手術給付金が下りたので、不幸中の幸いだった。