納得のいく説明をしたほうが② | 「ハンブルグの黒い霧」は師匠の技

納得のいく説明をしたほうが②

自転車に乗っていたら警察官に呼び止められた。


「すいません、自転車の盗難が多いので調べさせてください」

「はい、別にいいですよ」

「お名前は?」

「○○です」

「赤い自転車だったんでね。はい、確認が取れました」

「はい、どうも」

「バッグの中身を見させてもらえますか」

「いいですよ。本くらいしか入ってませんけど」

「(『三国志』見て)歴史が好きなんですか」

「まあ、そうですかね」

「こちらの内ポケットもいいですか」

「はい、どうぞ」

「ありがとうございました」



ここまでの会話でおかしな点はないだろうか。
盗難車かどうか調べるとき、基本的に素直に応じるようにしている。
今回も同様だった。
おそらく警察官自身も問題ないと思っただろう。
しかし、どうも腑に落ちない点があった。





赤い自転車?




自転車を購入する際、店員に「他の色もありますけど」と言われた。
そういった経験があったので、一通り終わったあとに「男が赤じゃおかしいですか?」と警察官に質問してみた。
答えとしては「男性はシルバーや黒とかに乗る傾向があるんじゃないですか。赤い自転車は家族のだったりします」だった。
もう一人いた警察官は「そんなことないです。私も赤は好きです」だった。


自転車屋の話は店員本人ではないので広げる意味がない。
なのでその場では終わらせた。
ただ思うのは、見本として一台しか飾られていないならまだしも、数百台飾られているなかから選んで「これをください」といっているなら、どんな傾向があろうと他の色を勧めるのはおかしい。


赤い自転車がおかしいかについては、警察官はおかしくないと思っていた。
そりゃ当然だろう。
赤が女性のみの色なんで誰が決めた。
赤い服を着ることだってあるだろう。
赤い車を所有する男性だっているだろう。
戦隊ヒーローの真ん中はほとんどが赤で男性だ。
赤いジャケットのルパン三世は犯罪者か?←大泥棒です
金太郎は犯罪者か?←見方次第では変質者かも
赤いパプリカだって食うわ←それは話が違う


怪しいと思って声をかけるには、段階があると思う。
通常ならば「本人のじゃないかも」で声をかける。
今回の警察官の言葉には「赤い自転車は家族の~」とあったが、家族のならば盗難車ではない。
ということは、「本人のじゃないかも」かつ「家族のでもないかも」と二段階越えて声をかけてきたのだろう。
よほど怪しかったのか。


自転車を調べるのも警察官の仕事のひとつ。
それは理解しているから、こちらも不満を口にすることなく素直に応じていた。
しかしながら、疑った理由がまともじゃないなら不信感が生まれるだけ。
本当は容姿だったり、行動・様子だったのかもしれない。
それだと相手の気に障るかもしれないから、当たり障りのないような理由を選んだのかも知れないが、偏見や誤解を生むような理由を選ぶな。
妙なゴマカシをするくらいなら、ただ「盗難被害が多いので調べさせてください」だけでいいだろう。


なお腑に落ちない点はもうひとつある。
盗難車でないことが分かったあとにバッグの中身を調べるな。
それはもう自転車関係ないだろ。


申し訳ないが面倒な市民になってしまった。
でもこれも勉強のひとつだと思ってほしい。