脚本家によろしく。 -5ページ目

脚本家によろしく。

だから、それ書いたの私ですって。

病院で手をつないでいる老夫婦を見かけた。なんとなく落ち着かない感じのおじいさんに、「大丈夫ですよ」とおばあさんが声をかける。それは、15分に一度くらい繰り返される。長い待ち時間も必要だ。「大丈夫ですよ」の数が増えるから。
どうやら、君の帰りは遅くなるようだ。私は剥きかけのリンゴを鍋に放り込み、ジャムになるまで煮立たせることにする。息を切らせて玄関に飛び込む君を想像し、上気した頬を想像し、鍋をかき混ぜる。やがて、部屋中が甘い香りで満たされる。君の帰りはずいぶんと遅くなるようだ。
それは時間も凍る温度。彼は難しい話を続け、私は耳を傾ける。時折、彼の指が私に触れ、いっそ私たちは絶対零度の世界で凍りたい。凍ったまま、お互いを深く知り合い、いつか、再び溶けた私たちは、いきなり恋に落ちるのだ。