2019年春


熊本で、仲間が

癌と壮絶に闘っていた


ステージ4


何度も

危篤状況に陥りながらも

不死鳥のようによみがえり

僕らに笑顔をくれた


高橋幸司さん

まさしさんの弟だ


スタント

サッカー

サーフィン

映画プロデュース

なんでも出来たすごい男だった

めちゃくちゃ強くて

優しい男だった


ハワイロケで

サーフィンを教えてくれた


余命2ヶ月と宣言されようと

一年半生き抜いた

不屈の男だった


「熊本に来てよ、病院ロケハンしよう」


連絡をもらって

熊本の病院へ行った


20191


病院内を歩きながら

話すことは

映画の夢ばかり


「病室もナースステーションも 

 撮影許可を取ったよ

 いい映画になるね」


コウジさんは、いつも笑っていた

近くの川や神社に行った

大好きなうどん屋さんにも行った

目に力があった



201946


再び熊本に行ったとき

コウジさんは

もう、病室から動けなかった


「近くに桜が咲く、いい場所があるんだ

 代わりに見てきてよ」


コウジさんに言われて

写真を撮りに行った


「桜の下で

 エンターテイメントやりたいんだ

 映画を撮れるでしょ

 舞台を組んだら芝居も出来るよ」


「必ず、やりましょう」


約束した


帰り際

駐車場から病室の窓を見上げた

コウジさんは

窓辺にはいなかった


寂しくはなかった

約束したから



2019531


コウジさんは

天に旅立った



9

JACO Fes 2019


12

JACO Fes 2019


年が明けて2020

約束の春が

もうすぐ来る


JACO Fes 2020

sakura shower


満開の桜が散る中で

「やんちゃで行こう」第三話の

クライマックスを撮影して

舞台で上映する予定だった


本は完成していた


しかし


コロナで舞台は延期に


JACO Fes 2020

sakura promise

再び延期


約束は、またも果たせずに

秋が来て

冬が来て


桜は

とっくに散ってしまった


桜は

散るからこそ美しいのか?

儚さなんて

コウジさんには似合わない

あの笑顔が

散ってたまるか


世阿弥は

散りゆく桜に

無常を見ずに

永遠を見た



冬のJACO Fes 

春を待たず


sakura tomorrow


桜の花は

咲いて無くてもいい


僕には

あの満開の桜が見える


桜の花は

散るから美しいのではない


全ての

エンターテイメントを愛する人に

届けたい