BUgHYpERを作るとなり決まってるメンバーは俺とカズポリだけで、とりあえず少なくともギターとベースはどっかで捕まえないといけない。


ちなみにこの時、バンド名も決まっていないしどんな音楽するかも全く決まっていなかった。


何にもないからとりあえず飲みながら話すぜのスタンスだったのだが、いかんせん飲み始めるとロクな話をしないから何も決まらないパターンが何度か続き、まぁそれでも楽しいからいいや、いつか決まるだろぐらいのテンションだった。


ただ、一人だけ目星をつけていたギタリストがいた。


Youki(ユウキ)である。

今もVELVET ECLIPCEというバンドでギターを弾いているんだが、彼への配慮を全くナシで言わせてもらえれば「見た目」に惹かれた。


カズポリとhideバンドを組んで出たイベントで、他にもXや hideにちなんだバンドがいたんだがそのうちのメンバーの一人で、なんだろう、こう中性的でほんわかした印象なんだがギタリストという花形にはもってこいなんじゃないかと直感的に思っていた。


割と早いタイミングで声をかけ、そこまで面識もないのに「とにかくかっこいいと思ったんで弾いてください」的な事を「酔った勢いで」伝えた。


確かその場にはカズポリもいたが横から「気持ち悪いなキミは」とハッキリ言われたのを覚えている。


ユウキ君は「あははー嬉しいっすー」と最大限の愛想を使ってくれて、即答ではないものの好感触で(いや、知らんけど)電話を切った後は「っしゃ!」とか言いながら、カズポリと「新しいバンドはこんなメイクで!」と目のまわりを黒く塗り旧ドイツ軍柄のスカーフを巻いて海老津ラーメンセンターへ行き、人がいようが関係なくラーメンをすすりながら「まーずはギタリスト確保!」とイキっていた。


ここまでは想定通りで「なかなか順調じゃん?」なんてタカを括っていたのだが、こっからがなかなか進まないのであった。


春先に進め始めたはずが気づいたら夏。

そろそろ俺は焦り始める。

意気揚々と「新バンドで殴り込みだー」なんて言ってたのに気づいたらメンバーが一人増えただけ。


いかん。

いかんぞ。

とはいえどうしたらいい??


と狼狽していた

そんな俺に非常にキョーレツな喝が不意に入る。


俺が抜けた後のZENが新たなドラマーを迎えてライブするという。

楽しみだなと思い向かったライブなのだが、そこにいた対バン相手こそが「ASHURA」だったのだ。


正直とっても複雑な心境だった。


彼らに対抗したくてカズポリと新しいバンドを組もうと立ち上がったのに、今の自分はこの状況。

対抗どころかスタートラインにも立っていない。


まだ彼らにも認識すらされていない中でまたこの「差」を見せつけられるのかと、なんだか晴れない気分で会場に向かった。


のだが。


結果的にこのライブで俺の心は完全に「着火」してしまうのだから、やはり人生はタイミングなのかなと思ってしまう。


次回【やはりASHURAはASHURAだった】