敬愛するhideさんのコピーバンドとしてライブに出演する事になったJACKY。
(いや、まだ当時はJACKYではない)

代打を頼まれた彼から、後はメンバーさんと話をつけといてくださいとの事で伝えられた連絡先。

実はこれこそが「BUGHYPER」ファーストコンタクトになるんですよね。
「ベーシストで、女性の方なんですけど」
「え??ベース、女の人なん???」



…じょ

…女性。

…うん、なるほど。

正直に言う。
スラリとした色白のちょっと不健康そう。目つき鋭くて髪の色が明るい女性(推定年齢20歳)を想像した。

あぁ、想像したさ。

きっとディルアングレイ辺りから入ってV系を聴きまくり、ピアスを開けおそらく高校では浮いた存在、おそらくネクロマンス(のコピー品)みたいなグロい指輪をはめ、BA-TSUとかのV系アパレルを好み、こっそりコンビニでバイトして買った初めてのベースはグラスルーツのToshiyaモデル。

まぁこんなところだろう。

たぶん想像しながら僕の口角は上がっていたはずだ。
おそらくちょっとやそっとの悪口じゃ「うっせぇよwww」ぐらいで流せるぐらいの機嫌ではいたと思う。


「ベースが女性」と聞いただけでここまで思考がめでたくなっていた。

繰り返し言う。

「ベースが女性と聞いただけで」ここまで思考がめでたくなっていた。


そんな中、僕は教えてもらったメールアドレス(当時はまだガラケー時代でメールが主流)に早速メールを送った。

コミュ障だと悟られまいと努めて明るく、それでいて「コイツ絶対無理してんな」ってレベルでもない当時自分の中で思い描いたちょうどいい、余裕のある挨拶から入ったメールだったと思う。
何度も読み返し、送信ボタンを押す前にたぶん脚色でもなく10分は使ったと思う。

さっきサラッとコミュ障である事を伝えたが、僕を知る人はご存じの通り、いわゆる絡みづらいキャラクターである。
元高校球児のくせに思い切りが弱く、試合でど真ん中に来た打ち頃ストレートを簡単に見逃すチキンハート。
そのくせ、相手ピッチャー得意のスライダーとかをビビりながら打ち、左中間を真っ二つ、喜んでいい場面なのに塁上でどうしていいかわからず、とりあえず味方ベンチに向かってなぜか筋肉ポーズをとって仲間が「???」となったのもいい思い出だ。(審判からは怒られた)
それぐらい絡みづらい。

そんなコミュ障が決心を固めて送ったメールから程なくして返信が来た。

「早いな」
そう感じながらもたぶん口角は上がっていただろうし
おそらくちょっとやそっとの悪口じゃ「うっせぇよwww」ぐらいで流せるぐらいの機嫌ではいたと思う。

ベースが女性と聞いた「だけ」でここまで思考が…

返信内容は覚えていないが、ここから数週間、この顔が見えないベースの女性とのやり取りが始まる。

季節はもう風の冷たい12月半ば。
ライブは年が明けた後の2月初旬だ。

そんなある日、そのベーシストから1通のメールが送られてきた。


次号【ついにご対面!?女性ベーシストの正体…】