マンガみたいな話だが、とてもよくできた小説。
感動ものには少々食傷気味で、

軽い感じのドタバタ恋愛ものを読んでみたいなと思う人にお勧め。


ただ単純に「恋愛もの」というのでもない。
主人公の男性がヒロインにアプローチするまでのプロセスが描かれているだけで、

アプローチそのものが描かれているわけではないのだ。


この小説の最大の魅力は、ヒロインの女子大生である。
おっとりしていて、世間ずれしていなくて、

今時珍しい純粋な、魅力的な女性なのだ。
いろいろな出来事をめぐる彼女のリアクションに

読者の男性はやきもきさせられる。
こんな彼女がいたらいいのにと心底思ってしまう。


あと、ぜひ見てもらいたいのは作品の最後にある

羽海野チカさんによる「かいせつにかえて」と

題された紙面に書かれたイラストだ。
この本の表紙のイラストもとてもいいが、

この羽海野さんのイラストもとてもいい。
めちゃめちゃもえ~となってしまう。


それにしてもなぜ男はこんなタイプの女性に弱いんだろう。
ピュアで世間ずれしてなくて守ってあげたくなるタイプの女性。
たぶんそんな女性なんて現実にはほとんどいないからなんだろう。
ちょっと前に読んだ『海の底』のヒロイン森生望のような
女の子なんて現実にはいないのだ。


いないからこそロマンがある。
だから僕みたいなおっさんはどんどんハマってしまうのだ。
この作品の主人公もやはりハマってしまう。


男はみんなこんなタイプに弱い。

女性は気づいていないかもしれないが、

イケイケな感じの茶髪で露出多めのギャルよりも、

男はこんな一見大人しい目な、従順でピュアなタイプに弱いのだ。


とにかく何も考えずに笑いたい、楽しみたい、という人にお勧めの一冊。