『就活のバカヤロー』石渡嶺司・大沢仁著(光文社新書)
読み手をうまく引き付ける力を持った本。
とても興味深いし役に立ちそうな内容にあふれている。

サブタイトルが「企業・大学・学生が演じる茶番劇」となっており、
その名の通り、企業、大学、学生、それぞれの視点からの
就活が鋭く分析されている。

グーグル世代の若者にとって、「知識」は獲得するものではなく、
検索するものとなり、就活の場でも若者はネットに頼っている。
若者は「就活必勝法」を求めてネット上をさまよっている。
自己はどんどん空洞化していく。
そんな中、就活の第一段階として自己分析をすることとなるが、
「自己」はどこを探しても見つからない…。

著者はそんな若者に、自己分析なんかせず、
過去の自分を振り返るより、「自分は将来こうしたいんだ」という
将来への希望を語れと言う。

確かに大学生くらいで自分を持っている人間は少ないし、
逆にそんな若いうちから自分を持っている人間は胡散臭い気もする。

しかしながら過去を見ればその人が分かるというのも事実だ。
将来への希望や野心など、口先でいくらでも語れる。
でも目標に向かって、実際に、過去にあるいは現在
何か具体的に行動している人は少ない。
僕自身はそういう具体的な行動を見てはじめて、
その人の語っていることの真偽が分かると思っている。

ってことで、大学生よ!!
まだ若いんだし無知でも常識外れでもかまわない。
ただ、何かをやろう!!
何か価値のあることを!!
自分が本気で打ち込めることを!!
人生のほとんどの時間を費やしても後悔しない何かを!!

とにかく就活にかかわりのある人は読んでほしい本。
いかに就活というものが欺瞞に満ちているかがよく分かる。
そのあほらしいプロセスで誰が儲けてだれが得をしているのか…、
この本を読んで就活の裏側を覗いたうえで、
冷静に就活について考えてみるのもいいかもしれない。