バイブルがまた一つ消えました。。。。
かつて週刊少年サンデーにて連載されていた「プロレススーパースター列伝」。
そのプロレススーパースター列伝の作画を担当していた漫画家の原田久仁信先生が7日に亡くなりました。
本当に残念です。
この作品は当時、「空手バカ一代」と並ぶ私たちのバイブルでした。
これは空手バカ一代と同じく、前提は「実話・ノンフィクション」とされていて、当時の私たちはそれを完全に信じ込んで毎週楽しみにしていました。
でも実際は殆どがフィクションで(アントニオ猪木:談というコラムもありましたがそれも実は梶原先生の創作でした)事実の骨子に大きくフィクションという肉付けをして壮大なストーリーを展開していました。
事実、私はリアルタイム平行時間軸でプロレスを観ていたので「あれ?これは違う」と思ったことは多々ありましたが「ふーん」みたいな感じでは読んでいました。
例えば主人公となっているレスラーと対峙する世界チャンピオンのハーリーレイスやニック・ボック・ウインクル、バディ・ロジャース等は実力も無いのにチャンピオンになっていて卑劣な手段で防衛し続けている卑怯者のような描写をされていたり(実際はプロレスの技術やセンスは最高ですし、リング外ではジェントルマンでした)、ザ・シークなどは実際はレスラーやプロモーターの仲間の間でも信頼のおける人物でリアルなプロですが、ただの小者の卑劣漢として描写されています。
海外では彼らを見て憧れてプロレスラーになった人も多く(先日、シークの甥のサブゥーが亡くなりましたね。とても残念です)そこは重要な事実であることは認識したいですね。
また、タイガーマスクと対戦したスティーブ・ライトの描写も実際は試合運びや技術、レスリングもとてもキレがあって素晴らしく、試合中も紳士的対応をしていた見事なレスラーでしたがこの作品では気性の荒いそれでいて少しヒールじみた言動をする選手として描かれていました。
実際の試合を観ていた時に私はこの選手は本当に強いと思いましたし、そのレスリング技術を見て正直タイガーマスクと当時対峙していたメキシコの選手たちやヨーロッパのテクニシャンのピート・ロバーツ、ダイナマイト・キッドより強いと感じましたね。
それにとても礼儀正しくて、ショーマンのアメリカプロレスとは違った魅力を感じていました。
その他にもソラールの腕折り事件や(これも実際に試合で観ていましたらアクシデントによる脱臼でしたが、作品では正体をばらしかけたソラールへの制裁として描かれていました)アントニオ猪木の命名、アンドレのデビュー前の仕事やハンセンと初来日時のホーガンの不仲、ブッチャーとカブキの空手の師匠ガマ・オテナの存在(カブキは厳密にはガマの直弟子ではなく、ガマの一番弟子の弟子として紹介)等とにかくフィクションが盛りだくさんでした。
特にタイガーマスクについては殆どがフィクションでミスター・カンフーとかブラック・ブロンコとかティグレ・エンマスカラド、マーク・ロコ(マーク・ロッカ紹介)のキャラクター像など正体をばらす訳にもいかなかったのもあったのでしょうけど、創作に固められたフィクションを全てを私たちはそれを鵜呑みにしていました。
ガマなんて大山倍達の大親友でシンガポールに行けば3歳の子供でも知っている「ファイテング・ゴッド」と紹介されてしましたが実在はしない架空の人物でした。
私はそれをすっかり信用して大人になったらシンガポールに会いに行こうと思っていましたからね(笑)。
でもそうしたことを膨らませて楽しんでプロレスを観ていたのも事実でしたし、理屈抜きでレスラーにはそうしたミステリアスな部分があってそれを前提に観ることで夢やロマンがありました。
今でも空手バカ一代と一緒にコミックを全巻所有しています。
時々読み直してもやはり分かっていても面白いですよね。
心より原田先生のご冥福をお祈りいたします。
夢をありがとうございました。