父のことは苦手だ。


真面目と言えばそれまでだが、何でも理詰めで話すので、たられば話が通じない。


頭が良く、運動神経もいいのだが、それを鼻にかけているところがある。


しょっちゅう見下されるので、宿題を教わるのも相談をするのも憂鬱。


次第に話をすることが減っていった。


そんな父の忘れられない言葉がある。


私が以前働いていた会社は、いわゆるブラック企業であった。


サービス残業は当たり前、体調不良でも休ませてはもらえない。


初めて正社員として入った会社。


必死に働いていたが、心も体も限界だった。


体調を崩し、休むことも断られ、泣いてしまった私を見て、父が言った。


「泣くくらいなら、辞めなさい。体を壊すまで無理しなくていい。お前は大事な一人娘なのだから」


大事な一人娘、父から初めて聞いた言葉だった。


涙は益々止まらなくなってしまった。


ひとしきり泣いたあと、父に助けられながら会社に連絡。


仕事を休み、退職をした。


今でも父のことは苦手だが、愛されていることを知ったあの日から、距離は少し近くなった気がしている。


大事な一人娘、その言葉はもう一生忘れることはない。


お父さん、ありがとう。


お酒も飲まない人だから、今年は服とお肉を贈ります。



極上のヒレステーキですよ(≧∀≦)