蜃気楼 | ひょうたん3つ

ひょうたん3つ

★☆★☆★☆★ 

.







飽和した水滴は

もう温度の下がった晩だから

冷えてガラスにしがみついてる

姿が見えるまでは

気づかずにまみれてる






音のない活劇みたいに

色のない反転のように

あの1枚だって本当だったけど






厚く重ねても

幾億年の層が

亀裂で剥がれたら

そこは初々しくまばゆいものだったのに






枯れては芽吹く

掘りおこして逡巡する

生けるものが運ぶ

ここは果てしない螺旋の真下で

融合を憂いても

あの息継ぎは

瞳にも映る






ミクロの一条は

かけがえのない美しさで

忘れるほど

ずっと同じ場所に貼りつけておくから

磁場が歪むように

数秒間の蜃気楼が霞むのを眺めてた






夢のなかの掠れた声で

座りこんで膝を抱える

守られることのない俯いた肩に

緩慢な微熱のまま