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厚い壁の反対側から
ごく小さなモーター音がして
夜中の静寂にだけ
気づく機会を与える
日増しに壁は薄くなって
真昼の喧騒の中でも
唸りが聞こえるようになる
知らなくて無邪気に笑っていたあの瞬間に
影が触手を伸ばしていたんだ
警告を知ったら
電子音で目覚めて
安堵のため息をつきたい
だけど巨大なモーターを自分の手で止めたら
残るのは辛い憐憫だから
拭えないしこりになって
それは存在し続ける
綺麗に整頓された垣根の向こう側から
何を叫ぶの?
ひずみを見ながら
デコレーションで埋めるの?
しまいこんだ昔の日記に
幸せな激情が
こんな風にピリオドを知って
安穏な昔話にしたくなる
きっと免疫力がなくなってるから
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