破けてしまった1万円札を交換するため、日本銀行の支店に出かけた。

いつも通りかかっているが、人の出入りはあまり見たことがなかった。

入口には警備員さんが立っていた。

自転車置き場を聞いたら、親切にどこの窓口で手続きをすればいいかも教えてくれた。

誰も待っている人はいなかった。

教えてもらった窓口に行き、予約していたことと名前を告げた。

申込用紙に記入し破れた一万円札と一緒に提出すると、その場で鑑定するので立ち合いをしてくださいと言われた。

窓越しに鑑定する様子を眺めること数分。

じっと見ていたが、何だか不思議だ。

私は働き始めた30数年前に一度ここに来たことがある。

その時もなんだか不思議な場所だと感じたことだけ覚えている。

女性は制服ではなく、普通の服の上にエプロンをしている。

作業着姿の男性職員もうろうろしている。

鑑定とか厳密なことをしているわりには、他の銀行と比較して働いている人たちにあまりピリピリ感がない様子だった。

電話はあまり鳴らないし、時に笑い声まで聞こえた。

なんだかいい職場だなあ、絶対つぶれないし、働く人たちが羨ましいなあと思っているうちに無事鑑定を終え、新しい1万円札と交換してもらった。