親方の知人が近所に飲み屋さんを開店したというのでお付き合いで連れて行かれた。

カウンターしかないお店はまだ試運転中で暖簾は出していなかった。

席は満杯だが、知り合いばかりの内輪の集まり状態だった。

こんなことで大丈夫かなあと思ってはみたが、私の知ったことじゃない。

適当につまん飲んで早々に切り上げた。

店を出ると外は異様に寒かった。

つまみしか食べていないので小腹も空いていた。

ラーメンを食べたいと思ってお目当ての中華屋さんに行ったら、閉まっていた。

別のラーメン屋を見つけたが、店頭のメニュー表示にはみそラーメンしか無かった。

親方に「みそじゃないよね?」とつぶやいた。

親方も「うーん、みそじゃないね。」と返してきた。

すると、となりに立ち止まった女子2人組も「みそじゃないんだなあ!」とつぶやいた。

はっとして顔を見合わせた。

女子はにこやかに「大学の部活帰りなんですよ、ラーメン食べたいけど、みそじゃないんです。」

と聞いてもいないのに話してきた。

思わず「部活は何やってるの?」と聞いたら、「鳥人間です。今年も出ます。うちの大学は記録出してます。」との事。

はいはい、ほぼ毎年観てました。

「頑張ってね!テレビで応援するわ。」と言って、立ち去る彼女達を見送った。

「みそじゃない」一点のみの接点だけだったが、知り合いが鳥人間コンテストに出るようで、観るのがちょっとだけ楽しみになった。