「卵焼き、うまくなったんじゃない?」

 

朝食で出した卵焼きを食べた息子が言った。

一瞬褒められたことが分からなかった。

黙っていると、同じことを繰り返して言われた。

非常に複雑だ。

一体何年卵焼きを焼き続けていることか。

卵料理については、ゆで卵率には劣るが、目玉焼き、いり卵に比べて卵焼き率の方が断然高い。

そういや、息子はあまり焼きたて卵焼きに出会う機会が無かったかもしれない。

今日は焼きたてだからか?

確かに最近、あっちから巻きかこっちから巻きかで迷走した結果、往復巻きをして失敗したことはあった。

今日は迷わず長年のやり方のあっちから巻きで巻いた。

朝から働かない頭で無の境地で巻いたのが良かったのか?

もしかして、いつもより心持ち砂糖を多めにしたのが良かったのか?

多分、朝から息子が褒めることなどめったにないのできっと疲れているのかもしれない。

火曜日に「既に木曜日の気分だ。」と嘆いていたのだから。

そう思い、おほめいただいた返事かわりに息子にドリンク剤をすすめたがお断りされた。

本当にいつもより美味しかったのかも知れない。

息子に出した卵焼きの残りは親方の弁当に入ったので、本当にうまい卵焼きだったかどうかを自分で確認する手立てはもうない。

果たしてまた今日と同じコンディションで卵焼きを作れるかどうか、だ。