新しい〇〇システムが1月からスタートした。

いまだにうまく機能するかどうかかなり怪しい。

私は、このシステムのために課内のみならず、うちの職場の一番偉い人のパソコンの設定をするという重たいミッションを背負っていた。

パソコン設定の前にまずシステムの説明に行かなければならないのが、最初のハードルだった。

昨年のうちにやるタイミングが掴めず、ずるずると今年に先延ばしにしていた。


新年に出勤してから、パソコン設定の前にシステムの権限登録をしなければならない事を思い出したので、まずその作業から始めた。

登録はうまくいった。

しかし、すぐに失敗に気がついた。

権限登録をすると、登録された人に自動的に通知メールが送信される設定になっていた。

何も知らされない偉い人にいきなりメールを送ってしまったのだった。

偉い人は、在宅勤務だったので、簡単な説明つきの謝罪メールを送信する事にした。

しばらくしてメール返信があった。

完全に怪しいメールだと思って通知メールは廃棄したとの事だった。

まあ、普通そうだろう。


翌日、とりあえず謝罪に伺った。

さすがに偉い人達は話が早かった。

「で、今設定する?」と聞かれた。

「申し訳ございません。私の準備がまだなので出直します。」と再び謝る事になったが、更に詳しいシステムを説明する必要がなさそうな様子でホッとした。


思いがけず、第一のハードルを超えていた。

後は設定がうまくいくかどうかだ。

これも、まったく自信がなかった。

課内でも簡単に設定できない人が数人いて何度かやり直しをした事があったからだ。

エラーのパターンも色々だった。

課内の人は各自でやるから良かったのだが、偉い人に自分でやってくれとは言えない。


偉い人の部屋に入ると、どうぞどうぞと席を譲られた。

設定はうまく行けば、30分くらいで終わる見込みだった。

すぐ横に偉い人が座っていた。

パスワードを入れてもらうのでいてもらわないと困るが、どうも居心地が悪かった。

集中してやりたかったが、黙っているのもしんどいので、システムについて説明しながら作業した。

自分にしてはかなりハイレベルな仕事だったにもかかわらず、エラーも出ずに見込みどおり30分で終了した。

2つ目のハードルも超えた。

しばらく味わっていなかった達成感を味わった。

それはとても小さな達成感だった。

そういや、自分が仕事を辞めきれなかった理由に達成感への執着というのもあったなと思い出した。

同時にもう自分には大きな達成感を味わうまでの道のりを歩く力がないのだと気がついた。

今日、絶対座るはずのなかった一番偉い人の椅子に、たまたま30分だけ座らせてもらった事を良い思い出としようと思いながら、偉い人の部屋を後にした。