母は、入院治療中、当然ながら食欲が落ちた。
見た目は顔と首肩周りが一回り小さくなった感じだった。
しかし、相変わらずお腹がでっぱったままだった。
母のお腹は、妊娠6カ月ぐらい?のサイズである。
担当医でさえも「なんでだろうね〜?」とニヤニヤして不思議がっていたので、腹水が溜まってるとかそういう事ではないようだ。
私が物心ついた時は、すでにこのお腹だった。
そして、常に新しいダイエット食品を試してはやめてを繰り返していた。
私が知る限り成功した試しはない。
母は、下着にこだわっていた。
昔はボディスーツを着ていた。
今は、ボディスーツのパンツ部分ない(ブラキャミソールでいいのかな?)
強力にお腹を抑えるタイプの下着を愛用している。
しかし、愛用し過ぎてお腹を抑える機能がほぼなくなってきている。
母のお腹パワーに負けつつあるその下着を病院にも着ていってると言う。
私は診察の妨げになるからやめるよう注意したが、これでないと駄目だと聞いちゃいない。
さすがに入院中は病院着で過ごしたが、私の目から見てその下着の着用時と未着用時の違いが分からない。
ある時、なんでその下着にこだわるか聞いたら、「これ着ないと、お腹がスースーするの」とのこと。
つまり腹巻ね。
うーむ、脂肪ある人って暑がりだよなあ。
お腹にあるものが脂肪なら寒くないんじゃないかなあ?
もしかして母のお腹には脂肪じゃなくて、何か冷え冷えした怨念が溜まっているのかも知れない。
退院後のある日、母がどこからか裁縫道具を取り出していた。
手元には、肌色のパッド。
肩パットつけるのかと思っていたら、横に愛用の下着が。
え~っ!胸パッド付ける気かいっ!
どうやら胸が痩せたのが気になるらしい。
まさか、「死装束の中に着せてね」と言い出すんじゃあるまいな。
そりゃ、おくりびとさんだって至難の技だろう。
悪いけど、却下ね。