もう27年もの月日が流れてしまった・・・

どれ程 感謝の気持ちを伝えたくても
伝える術がない
今の自分がいるのは 貴方のおかげだと・・・

それなのに
私はどんどん忘れていってしまう
どんな声だったのかも うろ覚え

26歳
その年齢は当時の私には
手が届かないほどの大人に思えたのに
もう自分の息子でもおかしくないような年齢
今を生きる、同年代の甥っ子と比べても
とても大人に思えるほど

私の高校の学費を払い
授業で必要なものも全て一緒に選んで
嫌な顔ひとつせず買い与えてくれた。
それが、どれ程大変なことで
覚悟が要ることだったか・・・

目が覚めたら
何も無かったように
寝ぼけ眼で私を起こしに来た姿が
そこにある気がした。

何かを得るためには
何かを失わなければならない・・・

私はその失ったものに値する
人生を送ってきただろうか
貴方が最後に目にしたものは・・・
その瞬間、何を思ったのか・・・

《いい人生だった》

決してそうではないはず
それなのに私は
いい人生だったと思って目を閉じたいと
願っている。
そんな自分がとても傲慢に思えてしまう。

だから
自分の周りで、相手への想いを忘れられない
人がいると

「どんなにみっともなくても
どんなにカッコ悪くてもいいから
やり直したいなら、伝える術があるなら
想いを伝えた方がいいよ」

それがたとえ私から離れる結果になっても
ずっと伝えられないよりはいい
どこを探してもみつからない訳じゃなく
カッコ悪い結果になるのが怖いだけ。

「もう何とも想ってない」
それが嘘だってことも分かってる。

嘘をつくほうが
本当のことを言うよりもラクだから。
本心を口にする方が
辛くて切なくて相手にも申し訳ないから

だからラクな道を選択する。