カルチョスキャンダルに関与したとして勝ち点のペナルティを与えられたリーグ戦での堂々とした戦いぶり。そして、そんな逆境の中で2年連続のCL決勝進出、そして前年にイスタンブールでの決勝でまさかの逆転負けを喫したリヴァプールを相手に、インザーギの2ゴールで勝利し優勝。


翌年、FIFAクラブワールドカップで来日し、日本の浦和レッズとも戦った。


あの頃のミランが今も強く印象に残っている人は多いのではないだろうか。


あれから5年、サッカーという観点からすると長いような短いような微妙な時間だが、ミランはずいぶんと顔ぶれが変わった。


翌07-08が終わると、、左サイドバックとして攻撃面で多大な貢献をしていたセルジーニョが引退(現在はミランのスカウト)。同じく不動の右サイドバックだったレジェンド、カフーも契約満了で退団。存在感を失っていたジラルディーノ、怪我続きだった「怪物」ロナウド、


当時絶対的な存在であったエースのカカ、偉大なるバンディエラ、パオロ・マルディーニ。そしてイタリアのクラブの監督としては異例の長期政権を築いていたカルロ・アンチェロッティ。数シーズンにわたって様々な面でクラブの核であり続けたこの3人は、クラブワールドカップの優勝から約2年後の08-09シーズンオフ、揃ってクラブを後にした。


さらにその後、マッシミリアーノ・アッレグリ、イブラヒモビッチ、ロビーニョら新たな中心となる存在を得て、久々のスクデットを獲得した素晴らしい10-11シーズン後、加入以来ミランのサッカーのシンボルであり続けた稀代の司令塔、アンドレア・ピルロが契約満了でユベントスへ。同じくミランの前線を支え続けてきた愛すべき真のストライカー、フィリッポ・インザーギは、アッレグリ監督から戦力外通告を受け、もはや試合に出ることは滅多にない。


ほかにも、グルキュフ、ヤンクロフスキ、カラーゼ、ジダといった当時のなじみの顔は、ほとんどが退団。今や残っているのは、衰え知らずのネスタ、そしてほかの大ベテランたち(アンブロジーニとガットゥーゾ、セードルフ)くらいのものである。


CLでバルセロナと互角の戦いを繰り広げるなど、新たなサイクルに入り、再び強さを取り戻したミラン。選手や監督の入れ替わりは何度だって行われてきたものなのだから、気にするのもおかしいのかもしれないが、それでもあの頃のミランからの変わりように、一抹の寂しさを覚えずにはいられない。