
煙草
なぜやめたのか
教えてあげようか
笑わない
ねぇ
ほんとうに笑わない
僕たちはニューヨーク・ミッドタウン
国連近くのバーにいる
肩まで伸びた
黒髪のストレートヘア
大きな瞳が僕を見つめている
典子が言葉をつづける
1月14日のこと
あなたとずっと一生
いっしょにいられるように
って願をかけたの
おぼえてる
それから1か月後
あなたは
結婚しようかって言った
こんなに早く効き目があって
いいのかな
そう思った
でも
もう何を行っても
ダメなの
小さく僕はうなづく
空(くう)を見つめながら
言葉を絞りだす
こころがね
カサカサと
音をたてるんだよ
君のことは
今でも好きなんだけど
典子は
ウォッカの入ったグラスを見つめ
ささやいた
神さまなんて
いないのよね
いないのよね