
ニューヨーク マンハッタンのよく晴れた土曜日
Bloomingdalesの向かいにあるレストランで
ブランチをとる恋人たち。
日本とニューヨーク
遠距離恋愛を乗りこえ
今、二人だけの時を過ごしている。
僕はいつもの優しい笑顔で彼女に聞いた。
「どうして大学やめたの・・・」
「ゼミが嫌だったからよ」
と彼女は小さな声で言った。
「どうしてゼミが嫌だったのかい」
また聞いてベックスビールを口に注ぎ込んだ。
「だって発表しなくちゃいけないでしょ」
「どうして発表が嫌なんだい」
意地悪にも僕はまた彼女に質問をした。
「私ね、人前で話すのが嫌だった
途中でゼミに出席するのをやめちゃったの」
女の笑顔が消えて行くのがわかる。
「どうして出席するのをやめたの・・・」
二人の間に沈黙があった。
女の目から光るものがあふれ始めた。
唇から堰を切ったように感情があふれ始める。
「だって・・・あの日あなたにふられて・・・
どうしていいかわからなくて
わたし・・・何も・・・する気がなくなって
どこにも行きたくなくなって・・・
ずっと・・・家から出ることも
できなく・・・なって・・・」
彼女の心の傷の深さを初めて知った。
そばに彼女はいるけど
遠くに遠くに彼女を感じてる。
すべての音が聞こえなくなった。