手紙(1)大正8年
僕は赤いモレスキン手帳に「手紙(1)」を書きつけた
むかし、あるところに一疋の龍がすんでいました。
力が非常に強く、かたちも大そう恐ろしく、
それにはげしい毒をもっていましたので、
あらゆる生きものがこの龍にあえば、
弱いものは目を見ただけで気を失って倒れ、
強いものでもその毒気にあたって、間もなく死んでしまうほどでした。
この龍はあるとき、よい心を起こして、
これからは、もう悪いことはしない、
すべてのものを悩まさないと誓いました。
そして静かなところを求めて林の中に入って、
じっと道理を考えていましたが、とうとう疲れてねむりました。
続きは明日