桃 20話 | Poetphotographer りゅういち
忘れたくない
忘れたくないのに
消えてゆく記憶 失われてゆく記憶
リュウは別れ際に
わたしを強く抱きしめてくれた
改札のまえ
人の目もはばからずに
わたしを強く抱きしめてくれた
リュウのほほとわたしのほほ
かさなりあい
あたたかさが伝わる
ニューヨークでリュウと恋におちた
しあわせだった感覚
リュウから桃の伝説の話を聞いたのは
もう20年以上も前なのに
この話だけは忘れない
愛しあった夜 リュウが教えてくれた
桃の伝説…
わたしの住むニューヨーク・ミッドタウン
青い月の光が部屋にあるものを
浮かびあがらせていた
和美 中国の桃の伝説のはなし
知っているかい
リュウがわたしに話し始める

