$言葉をつむぐ☆りゅういち


ニューヨーク 1992年 2月29日



転職してTBSのアナウンサーになるという森さんと出会った。

私が働く日本食レストランの社長から
ニューヨークの街を案内するように言われた。

森さんは、私より背が高く細身でモデルのようだった。
肩まで伸びた少しウエーブのかかった髪が風に揺れていた。

昼間、一通り観光地を案内したあと
私の行きつけのダウンタウンのバーに行きお酒を飲んで
パラデイアムという教会を改装したクラブで踊った。

森さんは
ニューヨークにいる開放感からだろうか
輝いて見えた。身体から喜びがあふれていた。


時計を見るといつの間にか次の日がやってきていた。
彼女の宿泊先である社長が住むマンションへと
イエローキャブで送っていった。
セントラルパークを眺めることのできるペントハウス。


社長とその家族は別室で寝ている。

マンハッタンの夜景を見ながら
私と森さんは、ペントハウスでたくさん話をした。





恋の話。仕事の話。好きな映画の話。



ふと彼女がこんな事を話した。



私ね

自分の声がキライなの


だから

キライな声を生かして仕事

アナウンサーという仕事になぜだか

就きたかったの



わかるかな

浜田さんに私の気持ち




朝の5時になっていた。