
東京ミッドタウンの芝生広場のベンチ
10月だけれど初夏を思わせるような陽射し
和美が桃の話を始めた
リュウ 私どこまで話したかしら
中国の奥地 チベットとの国境付近に
小さな村があって
そこには女の人だけが住んでいる
80歳から上は100歳を超える人が何人もいる
不思議な桃があるらしいの
NYUの韓国人のお友達や中国人のお友達にも
いろいろと聞いてみたの
わたしね その村を探し続けてね
そこまで話していたかしら
リュウが日本に帰国した後
1年経った夏に私も帰国したわ 大学院を卒業したから
日本でソロのピアニストとして活動を始めたの
地道な活動 そうボランティアでピアノを何度も弾いたりしながら
やっと 東京で初めてリサイタルを開催できるようになって
新宿のルノアールでイベンターの方と打ち合わせをしていたの
私の携帯が鳴って 誰からかしらと思ってみると
NYUの中国人のお友達のPEGGYさんからだったの
彼女 電話の向こうで叫んでた
見つけた 見つけたって 英語で叫んでたの
そうPEGGYさんは私の話を忘れられずに
小さな村を見つけてくれたの
私 その村に行ったのよ
横を向いて話していた和美がこちらを向いて
僕の目をじっと見つめ続けた