
少し歩きましょう わたし歩くの好きなの
10月の光の中で和美が言った
和美が僕の左側を歩いている
ニューヨークでなく ここ東京で
不思議だった
黒いビルの隙間から東京タワーが見えた
緩やかな坂道の登りきった所で左手に曲がる
警官の姿が目立つ
きっと大使館が多い街なんだろう
ニューヨークで和美と会う時は
なぜなんだろう
夕暮れ時や夜が多かった気がする
ブルックリン・ブリッジそばサウスストリート・シーポート
夕焼けの光に髪をなびかせる和美の横顔を思いだす
リュウのこと 好き
そう言ってくれた和美の横顔
お互いの家族の事を話しながら
僕たちは歩いて歩いて 歩き続けた
坂の多い街
狸穴坂と書かれた坂を通りすぎた
リュウ もう少しだから
まだ歩けるよね
和美が微笑んで僕の顔をのぞきこむ
左手で彼女を探した
彼女も僕を探してた
手を重ねて
僕たちは また歩き始めた
左の肩に彼女を感じながら