Memento mori ラテン語

いつか死ぬことを忘れないで 
あなたも わたしも



彼が亡くなった 享年33歳という若さで

雷を伴った11月の激しい雨が屋根をたたきつける

彼の死を雨が叫びつづけてる

無念さが雨となって降り続いてる そんな気がする



彼の悲報を携帯で耳にしたのは夕方の4時30分だった

JR小倉駅に僕はいた

駅前では沢山の人が歩いている

しゃべっている 笑ってる

なぜ なぜ歩いてるの 

なぜ しゃべっているの 

なぜ 笑ってるの 

なぜ 世界が止まらないの


新幹線のホームでは

真っ白なブーケを手で優しく包みこんでる女性が

僕の目の前にいる

どうやら今日は大安らしい 

大きな引き出物を手に持った黒服の男たちもいた



ひかり号で福岡へと移動し 彼の葬儀に参列した


僕は生まれて初めて 身近な親しい人の死にふれた


棺のなか 彼は色とりどりの花で覆いつくされている

涙がポタポタと花びらへと落ちた

僕は別れを告げ 白い菊の花を一輪 彼の右胸に置いた

青白い唇は決して動かない


大勢の友達 家族 親戚の方が棺のまわりで

彼に最期の別れを告げてる



棺のなかの彼の存在だけが絶対だった

棺のまわりで人々がふわふわと漂っている