
僕 「 死神って どんな恰好をしているんですか 」
彼 「 黒っぽい薄い霧から現れる 死神ってやつは 」
僕 「 そして ・・・ 」
彼 「 ふつうの人間と姿 形 変わんないね 」
彼 「 ただね
指で じっと 一人の人間を指しているんだよね 」
僕 「 じっとですか 」
彼 「 そう じっとね 」
「 指をさされている人間は ほんとに死んじゃうんだ
こいつ 死んじゃうよ って
指さして教えてくれるんだ」
彼 「 僕が 初めて死神を見た
いや 見えたのは
ある福岡の大名にあるバーで初めて見えたんだ
他のやつは誰も 誰にも見えない
そう 僕だけが見えていたのさ
その時は 死神だって わからなかったけどね 」
「 死神は ただ だまって バーの入り口の角に 立って
指さしていたんだ ジャックダニエルのロックを
飲んでいる30前後の男をね 」
「 次の日 僕は 同じバーに飲みに行った
店長が 驚いた顔をして 僕に教えてくれたんだ
ニュース見ましたか 昨日 あなたの横で飲んでいた人
うちの常連さんで 山下さんって言う人なんですけど
深夜2時すぎ 薬院大通りで ひき逃げされて
亡くなったらしいですよ 名前がニュースのテロップに
出ていたのを 見たんです
わからないもんですね
昨日 ここで この席で お酒を飲んでいたのに
もう この世にはいないなんて 可哀想に
そう店長は言うと カウンターの端に座る女性から
頼まれたカクテルをつくり始めた 」