宿なし男が腰かけていた敷石がゆっくりと消滅しはじめる りゅういちです ボルヘスの「伝奇集」に 確かこんな話があったと思う そのイメージは私の心を とらえて話さない 宿なし男 毎日陽が昇ると街の陽だまりの 敷石のところへやってくる 宿なし男は毎日 陽があたる敷石に腰をかけて 日向ぼっこをしている 来る日も 来る日も くりかえし 宿なし男は日向ぼっこをつづける そして ある日宿なし男は死んだ すると その死んだ瞬間から 宿なし男が腰かけていた敷石が ゆっくりと消滅しはじめる