
僕の昔の話をしよう。
ニューヨークで
一緒に働いた仲間たち、出会った人々。
今だに目を閉じると
その人の顔とまわりの風景が目に浮かぶ。
オフブロードウェイ俳優トニー山口さん
ジャズギターのパット・メセニー
女優シガニー・ウィーバー
萩本欽一主宰パジャマ党のメンバー岡田さん
田村正和さん、久保田利伸さん、王貞治さん
今日は、
セルゲビッチ・イワノフ・ツクダさんの事を話そう。
名前からするとハーフっぽいが
4分の1だけロシア人の血が混ざっている。
金髪でクルクルパーマの180センチ長身の男
色白だが、見た目は、完全な日本人。
一緒にニューヨークのジャパニーズ・レストランで働いていた。
普段は愛嬌のいいセルゲビッチ・イワノフ・ツクダさんだが、
ある日の事、お客さんと口喧嘩になった。
レストランでニューヨーカーからのクレームはよくある話。
日本人がしそうにないクレームを堂々としてくる。
英語があまり上手でないツクダさんに
イライラしたお客さまが怒りの言葉を吐いた。
「ユー・サノバビッチ!」
You, son of a bitch! =こん畜生!
(相手を侮辱することば)
「・・・」一瞬ポカンとした彼。
そして、こう切り返した。
「 ノー!
アイム・ノット・サノバビッチ」
「アイム
セルゲビッチ
イワノフ ツクダ オーケー」
彼は自分の名前をゆっくりと言った。
今度は、
今までクレームでカンカンになっていた
お客様が大きく口を開けて
しばらく固まって動けませんでした。
そう、
セルゲビッチ・イワノフ・ツクダさんは
「サノバビッチ」の意味を知らなかった。
彼は、お客様が間違って自分の名前を言ったと
勘違いしてしまったのだ。
この話は、当時一緒に働いていた仲間たちと
飲みに行く時は、大笑して語られるエピソード。
