
男はさびしさから 女を日本からよびよせた
マンハッタンのアパートで
小さな二人のしあわせがはじまった
しあわせは形を変えていった 男のわがままから
ある夜、男が仕事から帰ると
冷たく暗くなった部屋で女が泣いているのに気がついた
男は「なぜ」という言葉を何度も女に投げかけた
女は何もこたえず、一言も話すことなく泣きつづけた
次の夜も その次の夜も
六日目の朝 女は日本へと帰った
男の心には真っ黒な大きな穴があいてしまった
男は夜中になっても眠ることなく外の雨を眺めつづけていた
十八年の年月が流れた
再会して結婚した男と女
「あの時のなぜを知りたい・・・」と女が耳元でささやく
男は力なくうなづいた
「一緒に住んでいた時は、あなたがそばにいるのに遠くに感じた
あの時のさびしさ・孤独には私、耐えられなくなっていた
どうせなら日本に帰って離れて感じるさびしさのほうが
耐えられる、そう思ったの」
男は何もこたえることができなかった