1早すぎた死
ホアン・クリソストモ・アリアーガ(1806~1826)はその早すぎた死で有名である。彼は19歳で夭折した。
彼の生まれはスペイン、バスク地方。スペインと言って南国風の音楽を書いたわけではない。彼の作風は古典的かつ抒情的なものが多い。
彼はその早熟さが際立っていた。父親に音楽を教わり、14歳には「幸福な奴隷たち」というオペラを書いた。15歳でパリ音楽院に留学。18歳で交響曲を作曲した。3つの弦楽四重奏も魅力的である。その早熟さからついた名は「スペインのモーツァルト」
しかし皮肉なことにその命の短さもモーツァルトのようになってしまった。その天賦の才能はその命と引き換えであったのかもしれない。彼は肺病に体を冒され、20歳の誕生日を迎える10日前、パリで静かに息を引き取った。
彼の代表作、ニ短調の交響曲は今、かろうじて残る彼の作品である。1楽章のニ長調から始まる素朴かつ荘厳な響き。まさに神の響きと言えるだろう。低弦に乗ってアレグロに入る様子はシューマンを想起させる。
2 フランスの天才
ギヨーム・ルクー(1870~1894)もまた夭折した天才として知られる。彼は師フランクと同じくベルギーに生まれた。彼はフランク派の期待の星として将来を渇望された。しかしその人生は腸チフスによって24年間で残酷に終わりを迎えた。
彼は1891年作曲の登竜門「ローマ大賞コンクール」に自身の作曲した、カンタータ「アンドロメダ」を出品した。過去にはベルリオーズ、ビゼー、グノー、ドビュッシーなどが優勝し名門のコンクールである。結果は2位、彼は落胆し受賞を辞退したという。しかし収穫がなかったわけではない。彼の作品に感激したベルギーのヴァイオリニスト、イザイは彼にヴァイオリンソナタの作曲を依頼する。これは彼のもっとも有名な作品「ヴァイオリンソナタ ト長調」である。
この若さでこの表現力。天才である。早世したことが惜しまれる作曲家である。