昨夜訪れた合コン帰りの女豹達。
YちゃんとSちゃんも混ぜて女会議を始めた。
俺と相棒はせっせとカクテルを作りながら、会話に耳を傾けていた。

だが俺も相棒も、彼女らの意見に賛成だ。
むしろ世の紳士淑女は、誰もが賛同するだろう内容だった。

平気でセクハラ発言をする男は最低だ。
付き合ってもいない女に裸を見たいなどという暴言をよく吐けるものだ。
女を何だと思っているのだろう。
デリカシーに欠けた男は女から鬱陶しがられる。
そしてその女の周りにいる男から敵視される。
女の周囲にいる人間とも仲良くせずに近寄る男は最低だ。

ネジが外れた女ならともかく、多くの女は男に紳士さを求める。
その紳士さの一つが余裕を持ち合わせていることだ。
二人だけの時間はお互いを独占しあってもよいが、それ以外のオープンな場では周囲とも歩調を合わせる余裕が必要だ。
冗談でも独占欲を見せれば、女の周囲にいる連中が苛立つ。
これでは、その女との関係は長続きしないだろう。
当人も独占欲が強い一人の男を選ぶよりも、楽しく存在できる周囲の知人達を選ぶ。

最近は空気が読めない男が増えてきた。
それではいつまで経っても女などできる道理がない。

加奈子がセクハラに遭ったことには強い憤りを覚える。
それは親友として当然だ。

女の気持ちを考えずに自己満足な行動に出るのは最低だ。
女はセックスの道具でも妄想の材料でもない。
女の周囲と上手くやって、彼らとの輪を広げることが大切なのだ。

女のことを便利な遊び相手とでも思っているのだろうか。
恥を知れ!
開店して間もなく店の電話が鳴った。
出たのはYちゃんとSちゃんの電話争奪戦。
勝利したのはYちゃんだった。

Yちゃん「マスター。K子さんです」

失恋したばかりだというのに、池袋で合コンをしていたというK子。
だが下心丸出しの男性陣に嫌気がさして、女性陣全員が逃げ出してきたという。
そして4人で飲み直したいそうだ。

K子が連れてきた内の1人は良く覚えている。
K子を悪友と呼ぶ友達だ。おそらく親友の域に達しているのだろう。

今日は客の入りが悪く、他に来客は3組だった。
女豹達が来てくれなければ赤字になっていた。
助かった……
K子はモテる。
器量の良さもそうだが、穏やかな性格が男を魅了させる。
さらに聡明だ。
キャバ嬢から高級クラブのホステスに成り上がっただけのことはある。
新聞に目を通すのが日課で、主要3紙と日経を取っていたそうだ。
あれだけ忙しい生活を送っていたというのに、それを読む時間がどこにあったのだろうか。

俺がまだK子の客時代に、一度鎌を掛けたことがある。
駅売りの日経を買い、いい加減に開いたページに載っていた経済用語を覚えた。
それをK子に尋ねたのだ。

○面だったかな?×面だったかな?今日の日経に載っていたよ。
△△さんもチェックしているんですね。

それだけ経済の知識があるのだから、流行のデイトレードでもすればいいのにと言った。
だがK子は即答で断ったのだ。

デイトレーダーになったらホステスの仕事に手が着かなくなる。
私の仕事は△△さんと楽しくお喋りすることだもん。

今思えば営業トークだ。
だが俺はその一言に惚れてしまった。
単純な男だ。