経営と人事システム
成果主義に基づく減点方式の、すべてを否定するつもりは毛頭ない。むしろ長所はたくさんある。
新たな創造的な成果を求める時には不適切だが、市場成長期などで拡大を追求する場合や、決められた枠内の決められた条件で、正確かつ迅速に計画を遂行する際には、きわめて有効な判断方式であることに相違ない。
一般市場や該当する分野での景気がよい場合と、行政や自治体などのように、決められたことを推進するだけで問題が解決するときである。
つまりこの減点方式を、どういった組織や状況で採用するのか、という選択を誤っているのである。
経営の怖さは、同じ手法を使いながら、これまでは正しかった人事考課の査定手法が、ある時期に突如として間違いになることで、それはまさに市場経済とリンクしてくるのだ。だからオモシロイともいえるのだ。
自助努力とトライアル&エラー
一方、「新たなことをする」と決心すれば、失敗したときの責任を採る覚悟とともに、たとえ0.1%でも成功する確率の高いことを模索し続ける努力が必要だ。しかも経費を極力抑えての挑戦であり自助努力である。
そのため余計なことは何もさせない減点方式は、そんな自助努力(トライアル&エラー)の妨げになってくる。つまり不適切なのである。
恐らく「失敗したら責任が取れるのか?」と発言した上司は、これまでのそんな社内の事情を知っているからこその、親切な発言のつもりなのだろうが、折角提案してきた部下のやる気やモチベーションを奪うことまでは、もったいないことに気付かなかったのだ。
しかし、もしこの上司が「わかった。まずその提案のメリットとデメリットを全て列挙してメンバーを集めて検討してみよう」と返答すれば、部下はそれこそ必死でそのための資料を集め、やる気を起こしただろう。これが言えるかどうかは、ほんの少しの心の差だろう。
多くの人の頭によぎる一番の邪魔者は、効率という名前に隠れた怠慢だ。この判断はほとんど紙一重の差だろう。その紙一重の努力と執着がなければ、成功は困難になるだろう。しかし私たち日本人には、その一重の差がわかる繊細さがある。
そして伝える言葉もあり、和を重んじてきた伝統もあるのだ。
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