宙組 『ベルサイユのばら-オスカル編-』 <二幕> | 愛と青春のじゃぶじゃぶろぐ~男子 in タカラヅカ~

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宙組
『ベルサイユのばら-オスカル編-』
<二幕>

 


「あらしは~♪」で波乱の幕開けを告げると
オスカルを中心に一つにまとまった衛兵隊の訓練の場面。

誰かがセリフで場面を遮って次の展開へ進む
パターンその③。
訓練を遮るのはダグー/れいかちゃん。

〝即刻、武装してパリへ進駐するよう"命令が下ったことにより
衛兵隊の結束が乱れる新場面。

オスカルが一緒にパリに進駐するという事が
衛兵隊員たちには、どうしても信じられません。

なぜなら〝隊長は貴族だから。"
貴族と平民の格差を
本人たち自ら再三語らせることで
革命に至るその軋轢が鮮明になります。

しかし、ジェローデルが
ジャルジェ将軍にオスカルとの結婚を申し込み、
その理由の一つが
オスカルをパリに進駐させないための措置
という設定はどうなんでしょう?

オスカル一人が蚊帳の外で
平民である衛兵隊員たちがみんな
そんなプライベートな情報を知っている
というのも妙な気がします。
〝私は貴族である前にひとりの人間だ!"
というオスカルのセリフ自体は
らしいといえば、らしいのですが。

続く
〝私の行くところが他にあると思っているのか"

〝我々の存在など小さなものかもしれない"

などのセリフは、これまでの名ゼリフと似通っていて
脚本の推敲に問題ありです。

結局、この場面でアンドレは、オスカルの結婚話を知り、
「こころの人オスカル」を歌って凶行(!)に及ぶに至ります。

〝そのワインには毒が…"の場面。
きゃなめオスカルは
セリフがとても自然な感じで良いです。

〝その曲はお前にはふさわしくない"
と言われて返す
〝どうして?"のトーンは
アンドレとのごく普通の、ありきたりな日常会話として聞こえ
この後の展開を一層際立たせています。

そういえば、この間観た時は
アンドレのグラスが落ちた時にふたつに割れちゃいました。


衛兵隊の家族がパリ進駐をやめさせようと
衛兵隊員たちに会いに来る新場面。

家族たちは衛兵隊が自分達と敵対し
家族同士戦わなければならないと危惧。
オスカル様は貴族だから…という理由で
会議場での健闘もむなしく
ここでも信じてもらえていないオスカル。

なんだか、人と人が信じ合えない場面が多く感じますね。


そんなオスカルをかばうアランに
〝あの隊長に惚れたのかい?"
とのたまうカトリーヌにもびっくりですが
〝俺は隊長に惚れている"とカミングアウトするアランも新味。
その上、衛兵隊員たちが次々と
自分たちもみんな隊長に惚れている
と言い出して、家族も対応しきれず。
そのまま投げっぱなしで終わってしまうという驚愕の展開は
東京でさらに追加されたものかと。

その頃、噂のひとジェローデルが
「白バラのひと」を銀橋で歌い
オスカルのパリ進駐の中止と結婚申し込みのダメ押しを
ジャルジェ将軍に願い出ているところでした。

この流れで〝身を引きましょう"につながり
オスカルが「愛の巡礼」を歌いますが
いかんせん本作の内容と歌詞がまるであってない。

フェルゼンへの恋慕という設定があればこその
〝オスカルの女心"、〝求める愛"であって、
本作はオスカルのモテ期=受身オンリー
に終始してしまったところで『ベルサイユのばら』の魅力を
かなり削いでしまっています。

ひとつの物語をキャラクター毎の目線で切り口を変えて表現した
〝○○編"という手法は好きですが、あくまでも
同じ事象が見方を変えることによってこうも違うという部分が
受け手を惹きつけるのであって、ベースとなる基本設定はきちんと
踏襲しないと作品そのものが変わってしまい、非常によろしくないと
思います。


アランがアンドレの目の一件を衛兵隊員たちにバラし、
パリ進駐を思いとどまらせようとするシーン。

ここまでの描写だけでアランがアンドレの為を思って言ってるとか、
アランのつらい気持ちもわかってやれ!と言われても…。
『アンドレ編』のような
アランとアンドレの気持ちが触れ合う場面を一つでも入れておけば
良かったのでとは思います。

『ベルばら』は大多数の方が、それぞれ補完しながら観ているわけですが、
作り手がそこにのっかってしまってはアカンです。

「pale rose」
新曲ながら『ベルばら』クラシックスに入れてもすんなり馴染む昭和テイストの名曲です。
僕は思い入れたっぷりの、かいくんヴァージョンがお気に入り。

危険を顧みずまたもや言伝てを持ってジャルジェ家に来てくれたロザリーを
オスカルが後ろから抱擁するシーン、あれは良いですね。
オスカルを女性とは知らず本気の恋をしていた
かつてのロザリーのエピソードを想起させてくれる素敵な演出でした。
こういう〝補完"なら大歓迎です。

今宵一夜。

キタロウアンドレだと
〝同期で、光と影"的妄想も働き、切なさが勝手に増します。


〝アンドレグランディアの妻と呼ばれたいのだ(中略)
お前の妻に!"
突然、敬語になることもなく〝あなた"じゃなくて
いつもの〝お前"。
オスカルらしいオスカルだと思います。

「愛する者のために」
外伝以降のナンバーなのに完全にクラシック化してますね。
サビにくるまでの徐々に徐々に、しかも確実に盛り上がってゆく
楽曲構成も秀逸ですが、市民の〝フリ"が感動的にマッチしていて
いつも目頭が熱くなります。
そのままバスティーユの場面につながってゆくのも劇的です。

銃弾の雨を浴びせられ死に際に「こころの人オスカル」を歌うアンドレ。
きゃなめオスカルは〝私のアンドレ!"と絶叫してました。
本作は東西で複数回観てますが7/10の13:30公演で初めて遭遇。
変えたのか、感極まったのか、わかりませんが、とても良かったです。

〝シトワイヤン、ゆこう!"は
本人がスカステで好きなセリフだと言っていたように
ものすごく、魂のこもった迫力ある言い回しです。

オスカル絶命~バスティーユ陥落で幕が下りると新作エピローグ。
「天使たち降臨~花のいのち」
これもまた、昭和っぽくて過去の名曲群と並べて遜色なし。
〝女として生まれ、男として生き、人として宙に帰る"
という歌詞がきれいです。
2コーラス目のAメロ、影ソロが泣かせます。

<ミニショー>

銀橋わたりではなく本舞台スタート。
まあさま、キタロウ、みりおんの3色旗カラーで
「愛あればこそ」~「Pale Rose」~「こころの人オスカル」
と踊りつなぎ「愛あればこそ」で歌い終えるメドレー。

初演時以来のオスカルヴァージョン「薔薇のタンゴ」、
「心の白薔薇」でロケットと続き、
オスカル、アンドレ、ロザリーによる変則デュエット+黒燕尾な「愛の讃歌」。
オスカルとアンドレのデュエットは数種類あるようですが
きゃなめいわく〝湯上り美人"のようなオスカルのアップした髪を
アンドレがはらりと解くパターンが個人的には一押しです。
レディ・オスカルをほうふつとさせますからね。

そして、もっとも宝塚らしい華やかさ爆発のパレードで全編終了です。


結局
フェルゼン、アントワネット、オスカル、アンドレの4人は
最低限登場させなければ正伝としては成立せず、
話に矛盾やほころびが生じたり、カタルシスが薄くなってしまうわけで、
それゆえに本作は一連の宝塚版『ベルサイユのばら』外伝シリーズの
究極編な気がしました。

いつかコンプリートな正伝が上演されたら楽しいななどと
思いつつ、また何度でも足を運ぶ事としましょう。

因みに
僕はやはりAパターンの方が好きです。

宙組全ツ『フェルゼンとマリー・アントワネット編』
も今から楽しみです。


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