田村正和さんのTBSドラマ「オヤジぃ。」がTVer(ティーバー)で配信されており、それをずっと見ている。2,000年の東芝日用劇場で放送されていたやつだから、もう20年前以上のもの。当時、感動した作品だけに懐かしくもう一度見返しているが、俳優陣がみな若い!(あたりまえ)
 黒木瞳(妻)、水野美紀(長女)、広末涼子(次女)、岡田准一(末っ子)加藤浩次(製薬会社営業)、石田ゆり子(シングルマザー)、及川光博(広末の恋人)矢沢心(ガングロ)といった最強の俳優陣。


 主題歌が花*花の「さよなら大好きな人」がこれまた泣かせるいい歌なんだよね〜。
 脚本が「十年愛」「女王の教室」「家政婦のミタ」「GTO」などの遊川和彦さん。この人の脚本がいいから、本当に泣かせます!


 田村正和演じる頑固オヤジと3人の子どもたちとのハートフルコメディ。子どもたちは親の心配をよそに、数々の悩み、問題を抱え波瀾万丈な人生を送ろうとする。オヤジはとにかく、昭和の頑固親父で気に入らなければすぐに「出て行け!」と言う。

 でも、本当は誰よりも子どもたちを気にかけている。そして、正義感が強くて、社会的にも間違ったことが大嫌い。常識、マナーが悪いと、場所はどこだろうが、相手は誰だろうが、説教を始める。

 私がいつまで経っても忘れることのできない第4話「長女の正体」は必見!教師をしている真面目で聡明な長女、水野美紀が雨の中、家族に心境を吐露するシーンでは涙がボロボロ溢れた。
 
 結婚もできない人の子どもを妊娠したという長女に、オヤジは当然「許さん!出て行け!」と言う。
 脚本家の遊川和彦さんは、雨の中で水野美紀にこう言わせる。
「自分は長女で、いつも親の期待に応えねばと無理をしていた。でも本当は心の中で、妹の結婚、弟の進学もうまくいかなければいいと思っていた。本当の私は親が思っているようないい子じゃないの。」
 そう言って、水野美紀は家を飛び出してしまう。そのシーンは号泣ものです。


 兄弟姉妹でも親からの寵愛を誰よりも受けたい、兄妹同士の嫉妬、などリアルな悩みをドラマでうまく再現している。
 家族とは。夫婦とは。親子とは。兄弟姉妹とは。どれだけ年月を経ようが、時代が変わろうが、これらのテーマを掲げる作品は、少しも色褪せない。

 私は田村正和の気持ちが良くわかる。親として、子どもたちに少しでも幸せな人生を送って欲しい。たまに強く言う言葉が「押しつけている」「子どもの気持ちがわかっていない」などと言う。

 けれど、人生はみんながよく口にするほど、やり直しは利かない。人生において誤った選択をすれば、人より劣った人生になることの方が多い。まれに大逆転する人もいるだろう。
 でもそれはほんの一握りの人だ。できれば、失敗はしないほうがいい。波瀾万丈な人生より、普通の平凡な人生のほうが実は幸せだ。

 実は、子どもたちとか若い人はよく間違った選択をすることが多い。無鉄砲な行動にも出る。親は失敗しないように色々なアドバイスを送る。そのアドバイスは時には怒気を含んだ言い方にもなる。すると子どもは「親の独裁だ」「親の価値観を押しつけている」「子どもの気持ちがわかっていない」と言う。


 田村正和さんは亡くなってしまったけれど、本当に希有な役者さんだった。キザだ、いつも「田村正和」を演じている、とか言われていたけれど、何気なくみえる演技だが本当にうまいと思う。

 このドラマにはキザどころか、「人間臭い田村正和」がいる。こんな俳優はもう、なかなか出てこないだろうな。他の俳優の中で、代わりになる人が思い浮かばない「個性」がある。


 次の古畑任三郎も制作しない方がいい。きっと田村正和さんと比べてしまい、後を引き継いだ俳優が貧乏くじを引く。「ああ、田村正和のほうが良かったな」と。そのくらい個性が際立っている俳優さんだから。それがわかっている人はオファーがあっても受けないのだけれど、さぁ、わかっていない人は誰か?(キムタクと噂されています)

 最後に、このドラマは「家族愛」がテーマだ。そのことに、ただただ涙する。