のりもの情報室 File.01

JR旅客6社 2019年3月ダイヤ改正

 Hokkaido  East Japan  Central  West Japan  Shikoku  Kyushu 

 

 皆様こんばんは。最近は連続して図鑑ものを更新してまいりました。今回はまたまた新シリーズの登場でございます(笑)。題して「のりもの情報室」でございます。読んで字のごとく,乗り物に関する情報・ニュースを独自目線で書いていきます。

 

 第1弾はこの時期恒例となっているJRグループのダイヤ改正情報です。毎年この12月半ばに発表され,翌年の3月に施行されているJRのダイヤ改正,その中身について追っていきましょう。

 

 

  JR北海道 HOKKAIDO

 

 毎年落胆するようなダイヤ改正が目立つJR北海道ですが,今回の改正ではどちらかといえば明るい内容の改正となりました。北海道新幹線では青函トンネル内の最高速度が140km/hから160km/hへと引き上げられることによって東京-新函館北斗間の最速列車が3時間58分となり,ついに4時間の大台を切ることとなりました。また,接続の「はこだてライナー」も時間を見直し,函館への所要時間を縮めています。

 

北海道新幹線もついに4時間以内の大台を超える。

 

すべての新幹線接続の普通列車がはこだてライナーとなる。

 

 在来線では,「スーパー北斗」のうち,5往復に充当されているキハ281系の運用2往復がキハ261系に置き換えられ,キハ281系による定期列車は3往復に減少します。また,最終の札幌ゆき「スーパー北斗23号」の停車駅が南千歳から千歳に変更され,札幌方面の各駅停車と連絡するようになります。スーパー北斗としては初めての南千歳通過列車となり,同時に初めての千歳停車列車となります。

 

徐々に運用を減らすキハ281系(右)と,増発される札沼線の普通列車(左)。

 

 道東方面では,石勝線系統の「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」の全列車がトマム駅に停車するようになり,「スーパーおおぞら1・7・8号」では新たに追分と新夕張の両駅に停車するようになります。これによって普通列車は半減します。また,ダイヤ改正から半月後の3月末には石勝線の「夕張支線」区間である新夕張-夕張間が営業を終了し,2019年4月1日付で廃止されます。

 

増備が進むキハ261系。

 

 札幌都市圏では,函館本線と札沼線で普通列車の延長や増発が実施されます。宗谷本線,石北本線でも普通列車のダイヤ見直しが行われることになっています。また,今年も北海道内で3つの駅が廃止となります。根室本線の直別駅,尺別駅,初田牛駅です。

 

 

  JR東日本 EAST JAPAN

 

 新幹線では,東北・北海道新幹線の「はやぶさ」「はやて」の速達化が実施されます。青函トンネルの160km/h化で直通する新幹線は全て現行よりも所要時間が短くなり,JR北海道の項でご紹介した「はやぶさ5・11・38号」の3列車は4時間を切る運転を実現します。また,E2系で運転される「はやて119号」は,320km/h運転に引き上げの上「はやぶさ101号」となります。これによって東京-盛岡間が10分短縮されます。

 

 上越新幹線では,北陸新幹線系統で活躍するE7系が一部の「とき」「たにがわ」に投入され,同時にグランクラスサービスも開始されます。また,新潟駅では特急「いなほ」の全列車が新幹線と対面乗り換えを実現し,酒田・秋田方面の所要時間短縮と利便性向上を図ります。

 

グランクラスの拡充が進む東日本の新幹線。

 

 首都圏では,中央本線の特急「あずさ」「かいじ」がE353系に統一され,「スーパーあずさ」は「あずさ」に統合されます。また,「かいじ1・3・16・20号」の2往復は新宿-大月間を新設される富士急直通特急「富士回遊(新宿-大月-富士山-河口湖間)」と併結運転を開始します。朝夕時間帯に運転されている「中央ライナー」と「青梅ライナー」は特急へと格上げされ,それぞれ特急「はちおうじ」と「おうめ」となります。これら有料列車がE353系に統一されることから,常磐線などで実績のある全車指定の着席サービスが開始されます。利用者目線に見せるうまく言葉をちりばめた改正ですが,裏を返せば「値上げ」ということです。

 

中央本線の定期列車からE257系は撤退し,伊豆方面の踊り子に転用される。

 

 普通列車では,総武・横須賀線の増発と京葉線から武蔵野線への直通列車の増発,南武線の快速列車を夕刻にも増発等の改正が行われます。

 

 その他特急「つがる5号」と「しらゆき9号」の運転時刻が繰り上げされ,新幹線との接続改善が図られます。山手線では内回りの品川行き最終列車が一つ手前の大崎止めへと変更されます。これは品川駅の留置線廃止によるものです。これにより,大崎⇒品川への終電が大幅に繰り上がります。利用者の反応は如何に...。

 

 東北では常磐線の広野-木戸間に臨時駅「Jヴィレッジ駅」が開業し,4月以降のイベント開催時に開設される予定です。

 

 

  JR東海 CENTRAL

 

 JR東海では相変わらず地味な内容の改正となっています。新幹線では日中の「のぞみ」70本をN700A系による285km/h運転に変更,東京-新大阪間の所要時間を3分短縮します。また,土日祝日の翌日早朝に新大阪を6時30分に出発する臨時「のぞみ292号」が設定され,東京方面へのアクセス向上を図ります。

 

 在来線では,東海道本線の岡崎-金山間で平日夕方に特別快速2本が増発されます。これは金山始発で運行している現在の特別快速を岡崎始発とし,岡崎,安城,刈谷駅から名古屋方面への利便性向上を図るものです。これといった話題性はございません(笑)。

 

東海道線の快速列車は平日夕方のみの増発。

 

 

  JR西日本 WEST JAPAN

 

 今回の改正で一番大きな変貌を迎えるのがJR西日本ではないでしょうか。まずは長年工事が続いていた「おおさか東線」の北半分・放出-新大阪間がついに開業します。途中にはJR野江,城北公園通,JR淡路,南吹田の4駅が開業します。これによって現行尼崎-奈良間で運転される直通快速は新大阪-奈良間の運転に変更され,片町線・JR東西線直通列車は廃止となります。また,直通快速のおおさか東線内の停車駅にも変更が加えられ,メトロ中央線接続駅の高井田中央と,近鉄奈良線接続駅のJR河内永和に新たに停車するようになります。同時におおさか東線区間の全駅が大阪市内の駅扱いとなります。

 

ついに全線開通の運びとなったおおさか東線。アーバンネットワークも大きく変わる。

 

 東海道・山陽本線では新快速のうち,姫路-野洲間の2往復で座席定員制の「Aシート」が導入されます。これは223系1000番台4両編成1本の9号車を改造し,683系に準じた座席を装備するものです。車体の色も専用の青帯を纏うことになっています。他社の有料座席車両とは異なり,車内で精算したうえで空いている座席に座るという変ったサービスが特徴です。また,着席サービスはこれだけにとどまらず,神戸線方面で朝夕に通勤特急「らくラクはりま」が新設されます。「くろしお」用289系6両編成を用いて姫路-大阪間を1往復運転します。停車駅は姫路,加古川,西明石,明石,神戸,三ノ宮,大阪となっています。夕方に運転されている「はまかぜ5号」と「スーパーはくと13号」の停車駅も「らくラクはりま」と同じになります。現在は特急として運転される大阪-草津・米原間の「びわこエクスプレス」は種別を通勤特急に変更して運転されるようになります。

 

新快速史上初めての有料車両連結となる。

 

 山陰本線では,京都-丹波口間に「梅小路京都西」駅が開業します。梅小路公園に隣接する場所に設置され,京都鉄道博物館や京都水族館へのアクセスが一気に向上します。

 

 特急列車は,上述の列車以外にもまだまだ増発されます。北陸特急「サンダーバード」は夕方に1往復増発し,サンダーバードとして史上最多の運転本数となります。きのくに特急「くろしお」では,日根野駅に停車する列車が増え,関空と白浜方面のアクセス向上を図ります。

 

北陸新幹線の延伸を前にますます便利になる「サンダーバード」号。

 

 新型車両も導入されます。和歌山と王寺を結ぶ和歌山線と,高田と奈良を結ぶ桜井線には227系1000番台が投入されます。既存の105系と117系を半年で置き換える計画です。この227系はJR西日本初となる無線式ATCに対応しており,置き換え完了後はATCへと切り替えられます。また,車内の運賃箱にはICカードリーダーを装備し,ローカル線のICカード普及も推し進めます。ICカード普及では鳥取県の境線でも同様のサービスが開始されます。

 

 JR西日本はまだまだネタが尽きません。「国鉄廣島」と揶揄され,単色化が「末期色」とまで言われ,ひどい扱いを受けていた広島地区の在来線。227系の導入が進み,この改正でついに定期電車がすべて227系に統一されることになりました。まさか京阪神地区よりも先に広島の電車がJR車に統一されるなんて思ってもいませんでした。

 

国鉄の牙城に新風を送り込んだ227系。平成最後に「国鉄廣島」は終焉を迎える。

 

 その他では片町線の「東寝屋川駅」が「寝屋川公園駅」に改称されたり,北陸本線と湖西線の普通電車のうち,521系2両で運転される列車のワンマン化などが行われます。

 

 

  JR四国 SHIKOKU

 

 牟岐線では,9~19時台の徳島-阿南間と,10~15時台の阿南-海部間でパターンダイヤが採用され,わかりやすいダイヤとなります。現在,運転間隔もまばらで45分ほど空く時間もあった徳島-阿南間は30分ヘッドに変更され,実質的に増発となります。また,徳島バスでは大阪-阿南・生見・室戸線のうち,阿南駅-海部間で乗降が可能となり,阿南駅で牟岐線徳島方面の列車との接続が図られます。まさかの協調です。

 

岡山発は全て高知行きとなる特急「南風」。

 

 本州連絡では,予讃線の特急「しおかぜ」と岡山で接続の「のぞみ」の乗り換えが改善され,所要時間が松山-新大阪間で最短7分,松山-東京間で最短12分短縮されます。また,「しおかぜ・いしづち21号」の併結駅を宇多津駅から多度津駅に変更し,岡山・高松方面から丸亀・多度津駅までの所要時間を短縮します。土讃線では特急「南風19号」が宇多津駅に停車し,本州方面からのアクセス改善を図ります。また,土佐くろしお鉄道直通列車は,朝の「南風6号」を除いて全て高知発着に変更,「あしずり」との分断が行われます。

 

うずしお・いしづち・宇和海では指定席の設定が拡大される。

 

 高徳線・徳島線系統では,特急「うずしお33号」がオレンジタウン駅に停車するようになり,高松からの帰宅輸送が強化されます。徳島線の特急「剣山6号」は,運転時刻を約1時間繰り上げ,高知方面からの利用者の徳島での滞在時間を延長します。

 

 着席サービスの向上としては特急「うずしお22・29号」で,「いしづち103号」で土日に,「宇和海3号」で平日にそれぞれ指定席が拡大されます。

 

 

  JR九州 KYUSHU

 

 最後はJR九州です。年々列車が減るダイヤ改正が目立ち,昨年は100本程度の列車が削減されるという強烈なダイヤ改正を見せていたJR九州,今年も暗いものなのかなと思っていましたが,意外と明るい話題が多き改正となりそうです。

 

九州内と本州への利便性向上が図られる九州新幹線。

 

 九州新幹線では,高頻度運行(基本的にほぼ毎日)の臨時「みずほ」で行われている久留米と川内への停車ですが,定期の「みずほ」でもついに久留米・川内への停車列車が設定されることになりました。「みずほ611・604号」は久留米に,「みずほ609・602号」は川内に停車するようなります。

 

 特急列車では,大分からの「ソニック2号」が小倉駅で「のぞみ4号」への接続を改善,新大阪への到着が現行より34分短縮されます。

 

香椎線にも登場するBEC819系「DENCHA」。

 

 普通列車関係では,筑肥線の波多江-筑前前原駅間に「糸島高校前駅」が開業します。筑肥線では九大学研都市駅以来の新駅開業となります。また,香椎線で運行されているキハ40形・キハ47形は同日改正で全てBEC819系「DENCHA」へと置き換わります。これにより所要時間も西戸崎-香椎間で平均2分,香椎-宇美間で平均3分の短縮となります。なお,充電は香椎駅で行われます。

 

 高架化工事が進む折尾駅では,筑豊本線の発着ホームが新設の高架ホームへと切り替えられ,既存の1番・2番線は消滅し,新たに6番・7番線が高架上に設置されます。また,駅の位置が150mほど離れた「鷹見口」のりばは,A番・B番線に名称変更されます。

 

 日豊本線・吉都線でも増発が行われます。日豊線では,平日の夕方に空白時間帯となっていた16時台に佐伯発臼杵行き普通列車が増発され,吉都線では現行ダイヤで都城発最終の20時14分発の列車を19時56発に戻し,そのあとに21時45分発吉松行きが設定されます。そのため,終電が繰り下げられます。

 

 

 以上のような内容のダイヤ改正が2019年3月16日土曜日に実施されます。全体的に列車の増発や,利便性向上が目立つ改正となり,久々の明るい改正という印象を受けました。特にJR西日本エリアでは新線開業や新型車の投入,新列車の登場などなど,話題ふんだんの内容となりました。また,広島では国鉄車両の終焉も近づいており,平成最後の改正を象徴づける出来事になるのかなと思います。