1. 概要

   長年の目標であった、マイクセレクタがやっと完成の域に達した。その機能は所有するリグIC-7300(100W:JM1DOFで運用)とIC-7000(50W:JA5ZZで運用)を複数のマイクロフォンおよびヘッドセットを切り替えて運用できる。また、電鍵回路入力、ヘッドフォン出力を両リグに切り替え対応するというもの。

 

            

  

  一番の問題はIC7300で100W SSBで送信すると、回り込みを起こして、マイク回路に雑音が乗る。これに尽きます。シールド効果を狙って,ケースはタカチのアルミダイキャスト製を利用したのですが・・・。

  経歴を振り返りますと、単なるマイク切り替え回路から、だんだん機能を追加していった結果、Ver5で現外形になったのですが、もう、半分空きあきらめていました。

  1週間前から、一念発起、再度完成に向けて取り組み開始しました。いったん内部配線を取り去り、シールドケーブルや、フェライトビーズを多用してくみ上げていきました。

 

                    

               

  (リグの8Vを使って、ミニリレーを2個を動作せせています。これは、ロータリースイッチの回路数が足りないための策です。8Vの電源容量が不明ですが、問題ないようです。また、ダイナミック・マイクのアンプ電源にもつかっています。)

 

 

2.  外観・加工

   Ver.6(Ver.5共通)製作はまず、花子を使って図面を起こしました。(この花子は製図には使えますが、AutoCADの積りで使うと失敗します。機能は低いです。)

             

                      

 

  ケースはタカチのアルミダイキャストを使っています。このほうがシールド効果が狙えますし、加工が容易に行えます。印刷した図面を張り付け、ポンチでポイントを打っていくとかなり正確に加工できます。

 

3.回路図

   単なる切り替え回路で、電子回路など使っていませんが、コネクタの接続などを明記した図面を残しておきます。

             

                

               

 

  図面でもわかるとおり、ロータリースイッチ2個、8Pマイクコネクタ4個、ミニリレーを使った簡単なものです。ミニリレーを使ったのは、リグ切り替え用のものが回路数不足でそれを補うもにです。接続ケーブルは2種類で、8Pモジュラジャック対8pプラグ(上の回路図)、8p丸プラグ対8p丸プラグで、ケーブルは8芯ケーブルのうち1本はシールド線で、1本余ります。

 

4. 組み立てと試験

    まず、マイク切り替え、リグ切り替え回路を組みあげます。マイク回路はシールド線、PTT,PTT GND,8Vは3芯シールドを使い、他の信号線、アップダウン、Busy 、RXAudio は使いませんので配線しません。過去の作品はすべて接続していました。

  この回路が組みあがったところで接続して運用してみました。誤接続がなかったのですんなり動作しましたし、以前のバージョンの様に、回り込み現象は発生しませんでした。ここまではOKと一安心でした。

  次に、ミニリレーをつかった、電鍵の切り替え、ヘッドフォン端子の切り替え回路を、そして、ヘッドセット、AUX入力回路そして、PTT表示回路を組みあげ、テストです。

  すべての接続ケーブルを接続します。IC-7300,IC-7000、ハンドマイク、ダイナミックマイク、電鍵ケーブル、ヘッドフォン入力、ヘッドセット、それにエレキーヤーを接続しました。

  7MHzの空いた周波数で、SSB、100Wでダイナミックマイクの送信スイッチをONしました。その時モニターしていた、ヘッドフォンから、送信ONの瞬間何やら異音が聞こえ、マイクからの送話も回り込みそのものの現象でした。

 

5. 原因追及

    私のシャックはメイン電源として、アルインコDM-330MVを使用しており、2台のリグの同時送信はありえないので、2台に並列に給電しています。また、付属回路や、アンテナチューナーなどの照明にも供給しています。

  マイク切り替え、リグ切り替え回路が原因でないことは明らかなので、しからばどこかから、このSelectorに飛び込んでいるのか調べるための接続ケーブルを外してゆきます。まずエレキーヤーからのケーブルを外してみました。かなり良くなりました。前述のメイン電源からDC-DCコンバーターで5Vにコンバートしてエレキーヤーに供給しており、それを外す(エレキーヤーは停止)ても同様にかなり良くなりました。そこで、別の手持ちのUSBアダプタヵら給電することで、エレキーヤーの問題は解決。

  次に電鍵ケーブルです。以外にもIC-7000用のケーブルを外すと、ほとんど回りこみが感じられなくなりました。どうやら、IC-7000を経由して電鍵回路からの回り込みが大きと判断できましたが、CW運用上、取り去るわけにはゆきません。Selector内部の3.5φミニジャック入にフィルタを入れたり、ケーブルにパッチンコアを巻き付けてもほとんど効果ありません。 IC-7000の電源をOFFにしても変わりません。

 

5.結論

   それならば、とIC-7000の電源ケーブルをはずしました。IC-7000は電源OFFの状態でも電力消費しているようでした。そうすると、電鍵ケーブルを接続していても回り込みははとんど感じられなくなりました。万歳です。 しかし実際問題、どうする?別電源を購入?フィルターを入れてアイソレーションをとる?事実、手持ちの非常用フローティング電源で運用してみるとOKでしたが、電流容量が不足で長時間はNGでした。 

   物は試しと、電源ケーブルプラスマイナスに手持ちのパッチンコアを3回ループして取り付けてみました。幾分よくなります。ならばと、これも別の用途に購入したものの遊休品になっていた、トロイダルコアがあることに気が付き、電源ケーブルをW1JR巻きで、6t巻きまして接続するとこれまた不思議、効果がありました。

 

                   

 

  私は、固定局の場合、電源ケーブルは必要最小限に切り詰めて使用しますので、都合6ターンしか巻けませんでしたがコアいっぱいに巻けばいいのかなと思いますが、どうだろうか?

 

  これで、念願の完成の域に達したようですが、いつ何時、どんな状態で発症するかわかりませんが、回り込み現象や、ノイズに関してはやってみなきゃわからない点があり、根気よく対処してゆくしかありません。

=以上=