年に一粒たりとも梅干しを食わない男が訳あって、今年の梅干しを漬けなければならなぬという悲劇を迎えてしまっていた。
なんの因果でこうなったのか・・・
スーパーでハシャギまくるガキを野放しにしている両親に対し、年甲斐もなくガンを飛ばしたのがいけなかったのか?
んな訳あるまい、こっちが正義だ。
まあ良い。
何はともあれ、漬けなければならぬと言うのなら漬けるまでよ。
ってな流れで唐突な梅仕事が始まったのが3週間ほど前のこと。
詳細は省くが青梅のアク抜きをし熟成させ、乾燥を挟み軽く塩揉みをした後で塩漬けにする。
その重量 約20キロ・・・
二樽分。
因みに塩分は梅の重量に対して10%、いわゆる減塩梅干し。
個人的には梅干しを食う奴が塩分とか気にすんなと思うのだが、10%で頼まれたので致し方なし。
で、梅酢が上がってきた頃合いで赤紫蘇を投入。
茎を残さぬように葉だけをむしり、塩揉みをしてアクを抜く。
この作業が一番面倒臭いことこの上ないし、何で俺がこんなことをと心底嘆いた作業でもあったのだ。
もう二度とやりたくねぇ。
そんなことを思いながらも、アク抜きを終えた赤紫蘇を梅酢でほぐして梅の表面を覆っていく。
うむ、この赤紫蘇投入が今月の頭なので来月までは漬け込むことになるだろう。
そして来月の上旬、晴天が続く頃に三日ほど干して我が人生初めての梅仕事が完遂を迎える。
言うて冒頭に記した通り、俺は梅干しを食わない。
決して食えない訳ではないのだが、昔から酸っぱいものが苦手と言うか美味しいとは思わない。
なので必然的に美味しいとは思わない酸っぱいものを、わざわざ好きこのんで食うことなんてナイのだよ。
だがしかし、手塩にかけてしまったことで思いもよらぬ愛着が湧いてきてしまっている。
ガレージに行けばカビが生えてはいまいかと必ずチェックをし、均等に赤紫蘇色に染まって欲しいと願いながらその樽を揺らす。
長くなるので省いてはいるけれど、それぞれの量を測ったりパーセンテージを計算したり、重石の重さもその都度変えたりetc。
ああ、なんなんだ?
口にもしない梅干しの、その出来栄えが待ち遠しいなんてナンテコッタイ!!!




