「010」の次は「020」だろう……「携帯電話」に限定すると確かにそのとおりなのだが,実は「020」が指定されたのは1997年4月で,それに先立つ同年3月には「050」に続く2番目のPHS番号のプリフィックスとして「060」が指定されている.

 

 

 PHSサービス自体が,当初の想定よりは伸びなかったという印象が拭えないのだが,それでも加入者数は増加し,流石に「050」で始まる「10桁」という枠の中には収まらない可能性が出てきた,というところ.

 ただし,実際に「060」を使用したPHS事業者となると,DDIポケットだけではないかと思われる.
 現在「かつてこの『060』だった『070-6』の総務省による指定状況」によれば,この番号帯はソフトバンクにのみ割り当てられている.
 朧気な記憶ではあるものの,「050」と同様に「060」の次位の数字「4~6」をDDIポケットに割り当てていたような憶えがある.

 翌1998年には,NTTパーソナルが単独でのPHS事業を継続することが困難として,ドコモに事業譲渡しており,既にPHS事業そのものが厳しい状況にあったことが窺える.
 その後,アステル各社も苦戦が続き,新規受付を終了する地域会社も出始め,2004年に全国ローミングが終了.2005年から2006年にかけ全地域会社がサービスを終了して,アステルグループは「崩壊」してしまった.
 そしてドコモのPHS事業も2008年の初めに終了したが,ドコモからウィルコムには一部の例外を除いて「同番移行」ができたのに対して,アステルからはそれもできなかったと記憶している.

 そんな状況だったので,「070-6」は一部をウィルコム⇒ワイモバイルが使用していたに留まり,「070-5」も元NTTパーソナル⇒ドコモの番号帯はウィルコムを経て現在はソフトバンクへの割当になっている.かつてアステルが使用していた「070-57~59」のほとんどは「空番」を経て,現在はau(「070-581」のみソフトバンク)になっているが,これは「070」が携帯電話用にも指定され,更にPHSサービスが終了して以降のことだろう.
 「070-6」については,事実上ウィルコム⇒ワイモバイルしかPHSサービスを提供する事業者がいないため,他に割り当てることができなかったという背景もあるかも知れない.

 このような状況だったため,非常に中途半端な存在だった「060」⇒「070-6」だが,現在は「070」全てが携帯電話番号として指定できるため,文字通り「自然に埋もれる」ような雰囲気を醸し出している.

 当然ながら,筆者関連にもこの「060」由来の「070-6」回線はなかったが,今後,当たり前のように「070」が指定されるようになれば,その一つとして割り当てられる可能性はあろう.

 11桁化以降は「060」について,携帯電話と固定電話を自動的に切り替えるFMCサービス用として使用することになっていたが,事実上「未使用」状態になっていた.
 最近になって,「060-0」をFMC用に割り当てたというニュースを見たが,それ以外の「060」については,「070」に次ぐ携帯電話番号のプリフィックスとして使用する方向で話が進んでいるようである.