十数年振りに、半年開けずにボウリングをするようになったが、既述のとおり、左投げがメインであることによる問題点が、幾つか浮上。

 

 取り敢えず、左右どちらでも投げられるので、左利き問題は棚上げするとしても、毎回300~400円のシューズ代が馬鹿にならないのは確かだ。


 これは、学生時代にも感じていたことだが、当時は「そうは言っても、年に10回もはやらないだろうし」という思いと、そもそも、シューズを買ってもせいぜい2~3千円程度だとは思っていなかった。
 普通に(運動靴や革靴などの)靴を買えば、安くても数千円はすると思っていて、特殊な用途の靴だから、もっと高いんじゃないか、という思い込みがあったことが原因だと思う。
 今にして思えば、その用途から「防水性とか、あまり考えなくてもいい」のだから、そんなに高いコストをかけなくても、ある程度の性能のものができるだろう、と理解できるのだが。

 

 そんな状況だったので、今般、ラウンドワンで配られるスタンプカードを見て「マイシューズって(質はともかく)税込み1,480円なの?」と驚いた。上履き並みやん。いや、ある意味上履きみたいなものではあるが。
 なるほど、ラウンドワンでは貸靴が1回370円なので、丁度4回でペイする金額というのが絶妙。半年有効のスタンプカードで3回来場すれば、この優待価格(とは書いてあるが、実勢価格だろう)で買える。このペースなら、半年から一年足らずで「元が取れ」ますよ、ということらしい。ちなみに、定価は3,600円と書いてあるが、その金額なら、普通のボウリング場(を探すのは、最近大変になったが)のプロショップで、もっといい物が買えると思う(ただしそれがスコアにつながるかどうかは別問題であることは言うまでもない)。

 

 ところが、一つだけ問題がある。
 ボウリングのシューズは、投球時に後方に残る脚(通常は利き手=投球するほうの腕と同じ側の脚)を踏ん張る必要があるため、そちら側の靴底に「滑り止め」が加工されているのが本来の姿。つまり、左右対称ではない。
 ボウリング場で借りる「ハウスシューズ」は、ただでさえ「人によってサイズが様々」なために、多様な在庫が必要になるが、そこに右利きと左利きで別々に用意するとなると大変なことになる。本当なら「右投げ用に限定したい」ところなんだろうけど、「右投げ用のシューズでは左投げはできない」(実際にやってみたが、予想通り、まともには投げられなかった)ので、苦肉の策として「どちらの靴底にも滑り止めをしない靴を『両利き用(という表現はどうかと思うが、実際こう書いてあることが多い)』として用意」しているのだろう。
 ボウリングレーンのアプローチは、滑ることを前提にして作られているのだが、最後に安定したフォームからリリースするためには、ファールラインの手前できっちり止まる必要がある(んだと思う)。そのため、リリース時の「後ろ足」が、きちんとアプローチをグリップするための滑り止めになっている。
 半面、アプローチの上で靴底が「滑らない」ほうが危険で、脚や足、足首、膝や股関節などを痛めかねない。そのため、ハウスシューズの靴底は、両足とも滑りやすくなっている。
 実際にやってみるとわかるのだが、確かに後ろ足がグリップされ、それを意識しながら投球することで、フォームが安定する。結果として「スコアが上がった」というほどの実感が湧くほど上手くはないのだが、少なくとも「ガーターは格段に減った(ある程度の『幅』の中に収まるようになった)」と思う。

 

 そんなことで、取り敢えず「あと5回や10回は来るだろうから」という目論見と、「そもそも前に誰が使ったかわからない靴よりは衛生的だろう」という思いで、シューズだけは(安いし)買っておこう、と考えた。
 ところが、前述したように、シューズには「右利き用」と「左利き用」がある。どちらででも投げられる、ということは、片方だけでは投げられる腕が限定されてしまうということにになる。
 改めて、ラウンドワンのスタンプカードを見ると、スタンプ5個で購入できる「マイボール」については、「スタンプカード1枚で同時に4名様まで購入可能」とあるものの、シューズに関してはそのような記載がない。

 勿論、左右両方で2足購入すれば、費用も倍かかることは承知しているが、果たして、左右両方を同時に購入できるのだろうか。
 そう思って、ボウリング受付のカウンターで、おねーさんに訊いてみた。

 

 おねーさん、最初は「両利き」の意味が分からなかったらしい。

 

 「え? 両手を使って投げるんですか!?」
 「いや、『両手投げ』じゃなくて、右でも左でも投げるんです」

 

 確かに「両手投げ」という投法は存在して、プロでもやる人はいる。ただし、ここで言う「両手投げ」は、両利きな訳ではなく、あくまでも利き手の指をボールの穴に入れ、利き手ではないほうの手を添えて投げる方法のこと。つまり、「利き手投げ」のバリエーションの一つだ。
 ということで、筆者の場合は、さしずめ「スイッチ・ボウラー」とでも言ったほうが通りがいいかも知れない。

 

 おねーさん、事情は呑み込めたらしいが、即答はできず(そりゃそうだろう)、事務所に入って、相談してきたらしい。結論は「OK」だったのだが、問題は「在庫」。
 筆者の靴のサイズは、幅さえ合えば26.0cmでちょうど。メーカーによってはややきつい。一般に、ボウリングシューズは、少し緩めに作られているらしいので、普段の靴のサイズで大丈夫だと言われている。
 ところが、問題は「幅」。革靴などでは、よく「4E」などという幅広サイズが用意されているが、運動靴などには、そんなもの、ないことが多い。筆者の場合、これが大問題で、足の幅に合わせてサイズを選ぶと、運動靴では29.0cmとか30.0cmになってしまうこともある。正直なところ、下駄箱に入らない(笑)。
 なので、せめて28.0cm以内で合う物を探すのだが、そのために運動靴の選択肢は、かなり狭くなりがちだ。

 

 今のところ、ラウンドワンのハウスシューズなら、27.0cmで、ほぼ問題ないので、恐らくそれで大丈夫だろう、とは言われた。だが、27.0cmの在庫は全くないらしい。
 右投げ用の27.0cmは、近隣店舗に在庫があるらしく、一週間以内に取り寄せが可能らしい。ところが左投げ用は、

「全国の在庫が2足しかないので、取り寄せもできるかどうか……最悪、メーカー発注になるので、いつになるかわかりません」

と言われてしまった。

 

 結局、右投げ用は4~5日で届いたものの、左投げ用は2か月かかった。
 そう言えば、ショップに並ぶボウリング用品を見てみると、手首を固定する「リスタイ」と呼ばれるグッズが「M」とか「S」など、色々なサイズのものが並んでいるが、全部「右」というシールが貼られている。筆者は「リスタイは、使わなくて投げられるなら、使わないほうがいい」と、どこかで聞いているが、これでは、左投げでボウリングをするのは、まず道具が揃わない、と痛感した。

 

 一般的に「世の中の1割くらいが左利き」と言われているのに、ボウリング場、特にマイボウラー専用レーンで投げているような人の中で、左投げの人は、かなり少ない。
 ゴルフなども、左利き用のクラブは特注で高いので、左利きの人も、大抵は「右打ち」にする、と聞いたことがある。野球では、一般的に「左打ちのほうが有利」と言われ、右利きでも左打ちにする人が一定程度いるため「右投げ左打ち」は、掃いて捨てるほどいる。逆に「左投げ右打ち」は、滅多にいない(皆無ではない)。ソフトボールなどは、左打ちが推奨されているんじゃなかろうか。
 ハサミも、通常売られているものは右利き用なので、左手では切りにくい。一応、左利き用のハサミというものも販売されてはいるが、品薄だったり、価格が高くなったりする。そのため「左利きは理容師に向かない」らしい。

 

 やってみると感じるのだが、ボウリングで「利き手ではないほうの手で投げること」は、「野球で右利きが左打ち(あるいは左利きが右打ち)をする」よりは難しいが、「(同じく野球で)右利きが左投げ(あるいは左利きが右投げ)をする」よりは、かなり容易い。
 だから、ゴルフのように左利きも右投げに「矯正」されてしまうのか。
 ハウスボールにハウスシューズであれば、どうということはないが、前述したように「右利き用にドリルされたボールを左手で投げると、バックアップ回転になりやすく、コントロールがつきにくい。というか、右投げならレーンに対してアプローチの右寄り、左投げなら左寄りに立って投げるのが普通だから、所謂「シュート回転」的なバックアップになると、外側(投げ手側)のガーターに落ちやすくなってしまうことはあろう。
 だが、本格的にボールやシューズを揃えてボウリングをしようと思うと、左投げでは、用品を揃えるのも一苦労なのだ。

 

 一方で、ボールは、手に合わせてドリルをするのが「マイボール」なので、左投げだからという理由では、在庫がないとか、時間がかかるとか、高くなる、ということはない。
 左利きの人が、お手軽にボウリングをするとなると、ハウスシューズとマイボールという組み合わせから入るほうが時間はかからないかも知れない。
 考えてみると、左投げ用のシューズについては、何も「安いから」という理由だけで、ラウンドワンのキャンペーンシューズにせず、普通にネット通販とかで買ったほうが速かったかも。価格も、3~4千円程度からあるので、キャンペーンシューズの倍以上はするが、バカみたいに高額な訳でもない。

 

 ボールは、スタンプが5個貯まったらキャンペーンボールを税込2,100円で買える。これは最初からスタンプカードに「(1枚で)同時に4名様まで」と書かれているので、左右両方を同時に頼んでも大丈夫だろう。
 これが、一部では悪名高い「ラウンドワンの3点ドリル」だが、初心者には充分という声も多いので、お試し感覚ならば悪くはなかろう。
 実際、受付で相談すると、(一応公認インストラクターらしい)社員が出てきて、丁寧に計測してくれたので、すぐに指や掌に馴染むものにはなった。マイボウラーレーンのオイリーな所では、あまり曲がらないが、通常のレーンだと「曲がり過ぎるくらい曲がる」というか「曲がってしまう」けれど。

 

 取り敢えず、余裕を見て14ポンドで作ってもらったが、すぐに慣れてきて、最近では「やや軽く感じる」ようになってしまった。もし、次があるなら、15ポンドでも全然大丈夫そうだ。
 ということで、決して上手くはないものの、取り敢えずは「格好」から入ろう、と、シューズとボールは揃えてみた。ただし、両利きのままやろうとすると、用品が倍必要になるのは、わかっていたとはいえ、嵩張るなあ……。金額的には大した品物ではないけれど、サイズはともかく、重さがある。14ポンドって、およそ6.4kg。これが2つとシューズ2足だと、13kgを超え、バッグなどがあれば、15kgコース。ロッカーに入れるのも、一苦労だと、後で気付くのであった……。